大人気漫画『ジョジョの奇妙な冒険』(以下ジョジョ)のシリーズは、第1部から第9部まで長期にわたり展開し、スピンオフ作品も数多く存在します。
初めて読む方は「どの順番で読めばいいの?」「アニメから入るべき?」と悩むことでしょう。
本記事ではジョジョシリーズの読む順番について、発表順・時系列順・アニメ視聴順・おすすめ順といったパターン別に徹底解説します。
さらに、各部ごとのあらすじ・魅力・名場面、登場人物やスタンド(特殊能力)の概要、初心者への入り方のコツ、アニメと原作漫画の違いやメディアミックス展開、単行本情報や入手方法まで網羅しました。
ジョジョ初心者からコアなファンまで満足できる内容を目指しています。ぜひジョジョの奇妙な世界への案内人としてお役立てください。
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ジョジョの奇妙な冒険とは?シリーズ概要



『ジョジョの奇妙な冒険』は荒木飛呂彦先生による日本の漫画作品で、1987年より週刊少年ジャンプで連載が開始されました。
以降35年以上にわたり続く超長寿シリーズであり、現在は月刊ウルトラジャンプ誌上で第9部まで連載中です。
累計発行部数は2022年時点で全世界1億2千万部を突破するなど(現在はさらに増加中)、国内外で絶大な人気を誇ります。
作品全体のテーマは作者いわく「人間讃歌」であり、世代を超えたジョースター家の勇気と宿敵との死闘を描いた壮大な物語です。
ジョジョシリーズ最大の特徴は、「部」ごとに物語の舞台・主人公が一新される独立したエピソードでありながら、ジョースター家の血統と因縁が受け継がれていく点にあります。
第1部~第6部まではジョースター家 vs. 宿敵ディオにまつわる一連のストーリーで、舞台は19世紀末から2010年代まで現実世界の時代順に進みます。
一方、第7部以降はパラレルワールド(もう一つの世界線)となり、新たなジョースターたちの物語が展開しています。
各部ごとに主人公は代替わりし愛称として「ジョジョ」と呼ばれます(例:ジョナサン・ジョースター→“ジョジョ”)。
部ごとに物語のテイストも異なり、ゴシックホラー、冒険活劇、バトルロードムービー、サスペンスミステリー、ギャング映画風、西部劇レースなど多彩なジャンル要素が盛り込まれているのも魅力です。
また、ジョジョといえば独特のスタンド(幽波紋)能力のバトルが有名です。スタンドとは人間の精神エネルギーが像(ビジョン)を結んだような超常能力で、第3部から登場しました(第1部~2部は「波紋」と呼ばれる戦闘法を使用)。
スタンド使いたちは各自ユニークな能力を持ち、その駆け引きや奇抜な発想の戦いが読者を惹きつけます。加えて、荒木先生の描く個性的なキャラクターデザインやポージング、効果音(ゴゴゴゴ…など)もジョジョならではです。
ネット上でも「ジョジョ立ち」と呼ばれるポーズや数々の名セリフがミーム化し広まっているほど、作品のセンスとユーモアは唯一無二です。
例えば「お前は今まで食ったパンの枚数を覚えているのか?」や「そこにシビれる!あこがれるゥ!」といったセリフは聞いたことがある人も多いでしょう。
こうした名言は後ほど各部の紹介でも取り上げます。
ジョジョシリーズ全体の部一覧
まずはジョジョの各シリーズ(第1部~第9部)の概要を簡単に押さえておきましょう。以下に各部のタイトル・舞台・主人公をまとめます。
部数 | タイトル | 時代・舞台 | 主人公 | あらすじの概要 |
---|---|---|---|---|
第1部 | ファントムブラッド | 1880年代末・イギリス | ジョナサン・ジョースター | ジョースター家と吸血鬼ディオの因縁の始まり。波紋と石仮面の物語。 |
第2部 | 戦闘潮流 | 1930年代後半 | ジョセフ・ジョースター | 柱の男たちとの戦い。ナチスや波紋も登場するスピード感ある冒険。 |
第3部 | スターダストクルセイダース | 1980年代(1988年)・日本~エジプト | 空条承太郎 | DIOを倒すための旅。スタンド能力が初登場。世界規模の冒険。 |
第4部 | ダイヤモンドは砕けない | 1990年代(1999年)・日本・杜王町 | 東方仗助 | 町に潜む殺人鬼との戦い。日常に潜むホラーと青春のサスペンス。 |
第5部 | 黄金の風(Vento Aureo) | 2000年代初頭(2001年)・イタリア | ジョルノ・ジョバァーナ | ギャング組織に入り、頂点を目指すジョルノの成長と革命の物語。 |
第6部 | ストーンオーシャン | 2010年代前半(2011年)・アメリカ・フロリダ | 空条徐倫 | 冤罪で投獄された徐倫が、父を救い黒幕と対決。シリーズの集大成。 |
第7部 | スティール・ボール・ラン | 1890年・アメリカ(パラレル世界) | ジョニィ・ジョースター | 大陸横断レースと陰謀。ジャイロと共に戦う壮大な冒険。 |
第8部 | ジョジョリオン | 2011年・日本・杜王町(パラレル世界) | 東方定助 | 記憶喪失の青年が自身の過去と「ロカカカ」を巡り戦うミステリー。 |
第9部 | The JOJOLands(ジョジョランズ) | 2020年代・ハワイ・オアフ島 | ジョディオ・ジョースター | 大富豪を目指す少年の犯罪劇。岸辺露伴登場など衝撃展開。連載中。 |
各部ごとの詳しいあらすじ・見どころは後述しますが、まずは「読む順番」について次章で見ていきましょう。
ジョジョの奇妙な冒険を読む順番ガイド
ジョジョシリーズは長大で部ごとに独立した物語でもあるため、「どの順番で読めばいいか」は読者の好みによっていくつかパターンがあります。
ここでは発表順(シリーズ順)、物語の時系列順、アニメシリーズの視聴順、そして初心者におすすめの順番といった観点から、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
自分に合った読み方の参考にしてください。
発表順(シリーズ順)に読む

まず王道なのは連載・発表された順番、すなわち第1部→第2部→…第9部の順に素直に読んでいく方法です。
- 第1部 ファントムブラッド:(1987年)
- 第2部 戦闘潮流:(1987年 – 1989年)
- 第3部 スターダストクルセイダース:(1989年 – 1992年)
- 第4部 ダイヤモンドは砕けない:(1992年 – 1995年)
- 第5部 黄金の風:(1995年 – 1999年)
- 第6部 ストーンオーシャン:(1999年 – 2003年)
- 第7部 スティール・ボール・ラン:(2004年 – 2011年)
- 第8部 ジョジョリオン:(2011年 – 2021年)
- 第9部 The JOJOLands:(2021年 – 連載中)
この順番なら各部の物語を時系列どおり追えるので、設定やキャラクターの系譜も理解しやすく、ジョジョの世界観を順を追ってしっかり堪能できます。
特に第1部から第6部まではストーリー上も連続性が強いため、発表順に読むことでジョースター家と宿敵の因縁の流れを自然に追えます。
途中で登場人物の子孫関係や伏線なども時系列順に回収されていくので、初見の方には基本的にこの読み方をおすすめします。
発表順に読むメリットとして、荒木先生の画風や作品のノリの変化も順番に楽しめる点があります。
ジョジョは連載期間が長いため、絵柄やデザインの進化も見どころの一つです(作者写真が巻末で若返っていくという冗談もあるほどです)。
一方デメリットを挙げるとすれば、第1部・2部の絵柄や古い漫画特有の表現に抵抗を感じる人もいるかもしれません。
しかし第1部からすでに「メメタァ」や「そこにシビれる!あこがれるゥ!」など名言・ジョジョネタが多数生まれており、シリーズの原点として外せない魅力があります。
ぜひ最初から読んで、ジョジョワールドにどっぷり浸かってください。
時系列順に読む

次に物語の時系列順で読む方法についてです。ジョジョの第1部~第6部は物語上つながっており、それぞれの舞台年代は以下の通りです(第7部以降は別世界)
- 第1部:1888年~1889年
- 第2部:1938年~1939年
- 第3部:1988年~1989年
- 第4部:1999年
- 第5部:2001年
- 第6部:2011年~2012年
このように、基本的には発表順=物語年代順になっています。したがって第1部から第6部まではそのまま順番に読めば自ずと時系列に沿って進む形です。
問題は第7部以降で、こちらは前述のように第6部までとはパラレルワールド(世界観リセット)となっています。
第7部「スティール・ボール・ラン」は舞台年代が1890年ですが、これは第1部の過去でも第2部の前でもなく、「まったく別の世界の1890年」です。
ですから時系列順といっても、第7部は第1部の前に読むべきか?などと考える必要はありません。
基本的には第6部まで(初代世界)の物語を終えたあとに、第7部~9部(新たな世界)の物語を読むのが自然な流れになります。
要するに、時系列順で読もうとする場合も実際の発表順と大差はありません。
あえて言えば、第7部~9部内ではそれぞれ連続した同一世界の物語なので、第7→8→9と読むのが順当です。
第7部から読み始めることも不可能ではないですが、過去シリーズとのつながりは基本無いものの“ジョジョ”という作品の文脈が分からないと取り付きにくい部分もあります。
まずは第1部~6部でジョジョ世界の基礎(スタンド設定やジョースター家の宿命など)を知った上で、第7部以降の新たなジョジョ世界に進むのがおすすめです。
アニメシリーズに合わせて楽しむ

ジョジョはコミックスだけでなくアニメも大好評を博しています。アニメ版を見る順番も基本的には漫画と同じく第1部から順番で問題ありません。
2012年にDavid Production制作でテレビアニメ化が始まり、現在第6部「ストーンオーシャン」までアニメ化済みです。
各シリーズのアニメ放送順は以下の通りです。
- 2012年放送:第1部・第2部(TVアニメ第1期『ジョジョの奇妙な冒険』)
- 2014~2015年放送:第3部(TVアニメ第2期『スターダストクルセイダース』前後編)
- 2016年放送:第4部(TVアニメ第3期『ダイヤモンドは砕けない』)
- 2018~2019年放送:第5部(TVアニメ第4期『黄金の風』)
- 2021~2022年配信:第6部(Netflix先行配信『ストーンオーシャン』)
※第7部「スティール・ボール・ラン」以降のアニメ化は2025年現在まだされていませんが、ファンから期待が高まっています。
アニメ視聴順は上記のように制作・公開順=物語順なので特に迷う必要はありません。初めての方はアニメから入るのも大いにアリです。
実際、ジョジョのアニメ版は「愛のある神作画&演出で原作を見事に再現している」と評判で、スタッフの多くがジョジョの大ファンで固められているほどです。
オープニングテーマや劇伴音楽も作品愛にあふれた選曲・演出で、初見でも世界観に浸れますし原作ファンも唸るクオリティです。
ただし、アニメと漫画の差異も少しあります。
テレビ尺の都合や表現規制で一部カットされた名シーン・名セリフも存在しますし、やはり荒木先生の緻密で迫力ある描線は漫画ならではの魅力があります。
例えば戦闘の流血描写やキャラクターの細かな心理描写など、テレビ版では抑えめになっている部分もあります。
可能であればアニメでジョジョの世界に触れつつ、気に入った部は漫画でも読んでみるのがベストです。アニメ→原作の順で補完すると、更に深く楽しめるでしょう。
逆に漫画を読んだ後にアニメで動く名場面を観るのも感動があります。
いずれにせよ、アニメ版を見る順番は第1部から素直にがおすすめです(過去に1993年制作のOVA版第3部などもありますが、現在は新TVシリーズを観れば十分でしょう)。
初心者におすすめの読み方・順番

最後に、初めてジョジョを読む方に向けて特におすすめの順番についてアドバイスします。
基本はやはり「第1部から順に」が良いのですが、人によっては序盤で挫折しない工夫もありえます。以下にいくつかパターンをご紹介します。
まずは第3部から試してみる
ジョジョ第3部「スターダストクルセイダース」はシリーズ中でも特に人気が高く、“ジョジョ=承太郎”というイメージを持つ人も多い看板的エピソードです。
スタンドバトルが本格的に展開する最初の部であり、旅をしながら次々現れる敵と戦うジャンプ王道のバトルアクションが楽しめます。
ジョジョの代名詞的存在である承太郎とDIOの死闘も描かれ、「ジョジョって何が面白いの?」を手っ取り早く知りたいなら第3部を読むだけでも大筋が掴めます。
気に入ったら第1部・2部に遡って、宿敵DIOの誕生から追体験すると理解が深まるでしょう。
絵柄が古くて苦手なら新しい部から
どうしても昭和~平成初期の劇画タッチが合わない場合、思い切って新しい部(第8部や第7部)から逆順に読むという方法もあります。
第8部「ジョジョリオン」は2010年代の連載で洗練された絵柄かつミステリー要素強めの内容、第7部「SBR」は他部と独立した世界観で単体でも楽しめる傑作との評価が高いです。
まず最新の画風・ストーリーでジョジョの魅力に触れ、その後過去の部に遡るというアプローチです。確かに時系列は前後しますが、「ジョジョシリーズを一つも知らずに人生を終える損失に比べれば順番なんて些細なこと!」という熱烈な推し意見もあるほどです。
第7部は他と繋がりが薄い分、シリーズ未履修でも物語を100%楽しめるとの声もあります。まず最新部から読み、その後興味が湧いたキャラの先祖や子孫の物語を過去部で読む、という楽しみ方も一興でしょう。
好みのジャンル・要素から入る
ジョジョ各部はテイストが異なるため、自分の好みに合いそうな部から始めるのもアリです。
たとえば「肉弾戦ゴリゴリのバトルが好き」なら波紋アクション全開の第2部、「謎解き要素が好き」ならスタンド能力が複雑でミステリー色の強い第8部、「ホラー好き」なら吸血鬼ホラーの第1部や杜王町サスペンスの第4部、「イケメン揃いが見たい」ならギャングチームが美男子揃いの第5部など。
それぞれの部に際立った特徴があるので、興味を惹かれるテーマから入ってみるのも良いでしょう(※ただし第6部だけは過去5部の総決算的内容なので、できれば1~5部を全て読んでから臨んでください。
6部終盤の展開はシリーズの根幹に関わるため、初見で読んでしまうともったいないです)。各部紹介の項で内容に触れていますので、気になる部があればそこから始めてみて、後で全体を読破するという手もあります。
まずはアニメで掴んでから漫画を読む
前述のとおりジョジョのアニメは原作へのリスペクトが強く完成度が高いので、アニメで概要を掴んでから漫画で細部を補完する方法もおすすめです。
特に第1部・2部あたりはアニメ(全26話)で一気に観てしまい、その後第3部以降を漫画で読むとか、逆に第3~5部はアニメで観て最新6部以降は漫画で先取りする、といった楽しみ方をしているファンもいます。
アニメ版には漫画にはない声優さんの熱演や音楽演出があり臨場感抜群ですし、漫画にはアニメで割愛されたシーンや荒木先生の絵の迫力があります。
両方楽しめば二度美味しいので、ぜひ自分なりのハイブリッドな順番も検討してみてください。
以上のように、ジョジョを読む順番に正解は一つではありません。最終的には「自分が読みやすい順番でOK」です。ただ、一度ハマれば必ず最初から最後まで読みたくなる中毒性がありますので、ぜひ焦らず自分のペースでジョジョの奇妙な冒険を満喫してください。
では続いて、各部ごとの詳しい紹介に移りましょう。それぞれのあらすじと魅力、登場人物やスタンド、名シーンなどを解説します。
各部シリーズのあらすじ・見どころ紹介(第1部~第9部)

ここからはジョジョシリーズ各部について、ネタバレを最小限にしつつ内容と見どころを解説します。
部ごとの雰囲気やテーマ、主人公・主要キャラクター、名シーンや名言などに触れますので、読む順番選びの参考や既読の方の思い出振り返りにどうぞ。
第1部「ファントムブラッド」 – ジョジョの原点、宿命の幕開け
ジョジョ第1部『ファントムブラッド』第1巻表紙(ジャンプ・コミックス版)。貴族の青年ジョナサン(左)と宿敵ディオ(右)が描かれている。この第1部からジョジョ伝説が始まったことを象徴するカバーです。
あらすじ
時は1880年代、舞台はイギリス。名門ジョースター家の御曹司ジョナサン・ジョースター(ジョジョ)は、父が恩義を感じて引き取った青年ディオ・ブランドーと出会います。
しかしディオは野心家でジョースター家の乗っ取りを企て、ことあるごとにジョナサンを陥れようとします。やがてディオはジョースター家に伝わる石仮面の力で不老不死の吸血鬼となり、ジョナサンは父の仇を討つためディオとの戦いに身を投じます。
ジョナサンは東洋の奇妙な仙人トンペティから教わった伝説の呼吸法「波紋」で、人間を超越したディオに立ち向かうことになります。
登場人物
ジョナサンは誇り高く正義感あふれる紳士。対するディオは底知れぬ野望と邪悪さを秘め、「このディオだ!」の名台詞に象徴される強烈な悪役です。
他にジョナサンを支える仲間として、熱血漢の謎の紳士スピードワゴン(後に財団設立者に)、波紋の達人ウィル・A・ツェペリなどが登場します。
見どころ・魅力
第1部はまさに“正義VS悪”の純粋な対決がテーマです。荒木先生自身「ロマンホラー」と銘打ったように、ゴシックホラー調の雰囲気や吸血鬼の不気味さ、不死身の怪物との死闘が緊張感たっぷりに描かれます。
中でもディオが見せる冷酷非道な悪のカリスマ性は圧巻で、「無駄無駄無駄ァ!」と相手をいたぶる様子や、ジョナサンに放つ「おれは人間をやめるぞ!ジョジョーーーッ!」の叫び(石仮面を被り人間を超える決意をしたシーン)はジョジョ史に残る名場面です。
一方、ジョナサンのまっすぐな成長譚でもあり、初めは喧嘩も弱かった彼が波紋修行で力を得ていく姿は王道のカタルシスがあります。
名言
第1部はネットミームになった名言の宝庫でもあります。たとえば先述のディオの「人間をやめるぞ!」や、ディオの取り巻きが発した「そこにシビれる!あこがれるゥ!」は有名です(卑劣な行為を称賛する皮肉として現代でもネタにされます)。
また、スピードワゴンの「スピードワゴンはクールに去るぜ」やディオの「無駄無駄無駄ッ!」連呼、ジョナサンの「紳士として君を殴る!」など、枚挙に暇がありません。
これら名セリフが飛び出すたび、ジョジョの独特なノリに引き込まれるでしょう。
補足
第1部は全5巻とコンパクトで、ジョジョ入門編として最適です。
ラストのジョナサンとディオの宿命の決着は短いながらも壮大な余韻を残し、第2部以降への伏線も張られています。ぜひジョジョの原点を味わってみてください。
第2部「戦闘潮流」 – 破天荒な冒険活劇!祖父の宿敵を超えてゆけ
あらすじ
第2部は前作から50年後、1938年が舞台です。ジョナサンの血統を引く孫ジョセフ・ジョースターが主人公となります。
ニューヨークで暮らすジョセフは祖父譲りの波紋の才能を持つ18歳。ある日、ジョナサンの宿敵ディオの元凶でもあった石仮面から生み出された「柱の男」と呼ばれる超古代人たちが発掘され復活します。
彼らは人類をはるかに凌駕する強さで、究極の生物へと進化する“赤石”を求めて人間社会に牙をむきました。
ジョセフは師匠リサリサや盟友シーザー・ツェペリ(あのウィルの孫)らと共に、柱の男(サンタナ、ワムウ、エシディシ、カーズ)に立ち向かう旅に出ます。祖父が果たせなかった人類の脅威の根絶に挑む、壮絶な戦いの潮流が幕を開けるのです。
登場人物
主人公ジョセフは明るくお調子者で機転が利く性格。祖父ジョナサンとは対照的にずる賢い策士タイプですが、根は心優しく仲間思いです。
相棒のシーザー・A・ツェペリはイタリア人の伊達男で、亡き祖父の無念を胸に波紋戦士として戦います。美しき波紋の師リサリサはジョセフの師匠でありながら重大な秘密を抱える人物。
他にもナaziドイツのシュトロハイム少佐など個性的なキャラが脇を固めます。敵側の柱の男は、誇り高き戦士ワムウ、狡猾なエシディシ、そして究極生命体を目指す首領カーズ。彼らとの戦いが物語のクライマックスです。
見どころ・魅力
第2部はジョセフの破天荒なキャラクターがとにかく痛快です。ジョセフは敵に対してイカサマやハッタリも辞さず、「次にお前は〇〇と言う!」と相手の台詞を予言してペースを乱すなどトリッキーな戦法で強敵に挑みます。
彼のユーモラスな言動は読者を笑わせつつ、シリアスな場面との緩急が絶妙です。また、柱の男たちとの戦闘は第1部以上にスケールアップ。
とりわけワムウとの戦いは「戦車戦(チャリオッツ)」という古代ローマさながらの闘技場決戦となり、ジョセフの機転と執念が光る名勝負です。
相棒シーザーとの友情と別れも第2部屈指の名場面でしょう。シーザー最期の場面では、血のバンダナが太陽光に照らされる演出とジョセフの慟哭「シーザーーーーッ!」が読者の心を打ち、多くのファンが涙した名シーンとして語り継がれています。
名言
ジョセフはセリフ回しも独特で、「やれやれだぜ」(面倒だぜ)という呟きは孫の承太郎にも受け継がれる口癖となりました。
また彼は英語混じりのリアクション芸も冴えており、敵スタンドに驚いて放った「OH! MY GOD!!」や「なんてこったい」といった台詞はアニメ版でも話題になりました。
さらにジョセフの決め台詞といえば、敵の言葉を先読みする「次にお前は〇〇と言う!」シリーズです。これは敵の動揺を誘う彼の得意技であり、実際に言い当てられた相手が「な、何だと!?」と狼狽する流れは痛快そのもの。
その他、「クソがァーーーッ!」など荒っぽい罵声もジョセフ節で愛嬌すら感じさせます。
補足
第2部は全8巻とこちらも比較的短く、一気読みしやすいです。最終決戦では祖父ジョナサンを超えるスケールのエンディングが待ち受け、ラストシーンはシリーズ屈指の爽快感があります。
物語後半では「波紋法の究極奥義」も飛び出し、ジョセフの奇策と勇気には思わず拍手したくなるでしょう。なお、第2部のラストでジョセフはある女性と出会い…この血統が次なる第3部へと受け継がれていきます。
第3部「スターダストクルセイダース」 – スタンドバトルの幕開け、宿命のDIOとの決着
第3部序盤のジャンプコミックス第12巻表紙。承太郎(中央)と祖父ジョセフ(右上)が描かれ、第3部から“スタンド”能力バトルが本格化することを予感させるデザインです。
あらすじ
1988年、日本。空条承太郎は17歳の高校生ですが不良ながら冷静沈着な性格。ある日突然「幽波紋(スタンド)」と呼ばれる奇妙な能力が発現し、自分の意思とは裏腹に暴れ出したことで自ら留置所に入ってしまいます。
祖父のジョセフ・ジョースター(第2部の主人公ジョセフが老齢になった姿)とその友人でスタンド使いの女性・アブドゥルが訪れ、承太郎にスタンド能力の秘密を説きます。
それは祖父ジョセフの祖父=ジョナサンの宿敵DIOが100年の眠りから蘇ったことと連動していました。DIOの復活により、血縁である承太郎やジョセフにもスタンドが目覚めたのです。
やがて承太郎の母ホリィがスタンド能力に肉体を蝕まれ昏睡状態に陥ります。治療のためにはDIOを倒すしかない…!承太郎は祖父ジョセフ、アブドゥル、さらに旅の途中で仲間に加わる花京院典明やジャン=ピエール・ポルナレフ、そして犬のイギーらと共に、日本からエジプトへとDIO討伐の旅に出発します。
「スターダスト(星の白金)」を持つ承太郎率いる一行 vs. DIO配下の刺客スタンド使いたちとの長い旅路が始まりました。
登場人物
主人公空条承太郎は「やれやれだぜ」が口癖のクールな高校生。不良的風貌ながら根は優しく責任感が強い青年です。
彼のスタンド「スタープラチナ」は近距離パワー型で超スピードと怪力を誇り、第3部全編を通じて頼れる切り札となります。祖父ジョセフ・ジョースター(第2部の主人公が68歳になった姿)はスタンド「ハーミットパープル」を持ち、博識でムードメーカー的存在。
仲間の花京院典明は頭脳明晰な元DIOの刺客でスタンド「ハイエロファントグリーン」の使い手、ポルナレフはフランス人の剣士でスタンド「シルバーチャリオッツ」を操ります。モハメド・アヴドゥルはジョセフの友人でスタンド「マジシャンズレッド」(炎を操る)を持つ頼れる先輩格。
そして途中から加わるボストン・テリア犬イギー(スタンド「ザ・フール」使い)はマスコット的存在です。DIO(ディオ・ブランドー)は第1部以来の宿敵にしてシリーズ屈指の悪のカリスマ。彼のスタンド「ザ・ワールド」の能力は物語後半で明らかになり、承太郎たちを震撼させます。
見どころ・魅力
第3部最大の特徴は、ジョジョのバトルシステムがスタンドバトルへと本格転換した点です。
それまでの波紋バトルから一変、各キャラ固有の能力を持つスタンド同士の戦いは戦略性・多様性が飛躍的に増しました。旅の道中ではタロットカードやエジプト九栄神になぞらえた個性的な敵スタンド使い(DIOの刺客)が次々と襲いかかり、承太郎たちは知恵とチームワークでこれを切り抜けます。
例えば、鏡の中から襲う「鏡のスタンド」、コンセントを伝ってくる電気のスタンド、漫画から飛び出すスタンドなど奇想天外な能力が目白押しです。各話ごとに異なる能力との頭脳戦が描かれ、少年漫画らしい「異能力バトル」の原点的な面白さがあります。
物語後半、ついに宿敵DIOとの決戦がエジプト・開かずの館で繰り広げられます。この承太郎VS DIOの最終バトルは、ジョジョどころか漫画史に残る名勝負として名高いです。
DIOのスタンド「ザ・ワールド」の正体=「時間を止める」能力が明かされたときの衝撃、そして瀕死の仲間たちの無念を背負った承太郎が繰り出す渾身の「オラオラオラオラ……!!」ラッシュは圧巻の一言です。
DIOも負けじと「無駄無駄無駄無駄……!!」と拳をぶつけ合い、最後は有名な「ロードローラーだッ!」(DIOがロードローラーを落として攻撃)のシーンへ雪崩れ込むクライマックス。
時間すら超越した者同士の戦いに、読者はページをめくる手が止まらなかったことでしょう。承太郎が放つ決め台詞「てめーは俺を怒らせた」からの逆転劇など、燃える場面のオンパレードです。
第4部序盤の杜王町編が始まる29巻表紙。高校生となった仗助(中央)と第3部から続投の承太郎(左上)。日常の中にスタンド使いが増えていく不穏さと青春感が伝わるビジュアルです。
名言
第3部もまた名セリフの宝庫です。承太郎のクールな台詞では「やれやれだぜ(全く手間のかかる…)」が象徴的で、第4部以降の彼の登場シーンでも多用されます。
また、承太郎が敵を倒した後に吐き捨てる「二度と悪さできねぇようにしてやったぜ」なども彼らしい決め台詞です。
DIOの方は「無駄無駄無駄ァ!」や「世界(ザ・ワールド)」の発動時の雄叫びなど印象的ですが、ある意味最も有名なのは敵に向かって放った「貧弱!貧弱ゥ!」でしょう。
これは弱者を嘲笑うDIOの性格を端的に表す罵倒で、ネットミームとしても使われます。
他にも「時よ止まれ!」から始まる時止めシーン、花京院が死の間際に思い浮かべた「エメラルドスプラッシュでも壊せなかった…」という無念の言葉など、枚挙に暇がありません。
第3部は特に擬音やスタンド名**も含め、ジョジョネタの源泉といえるでしょう。
保証
第3部は全17巻と長めですが、その長さを感じさせないエンタメ性があります。まさに“ジョジョの顔”ともいえる人気エピソードであり、ここから入って熱中するファンも数知れません。
なお、第3部ラストで承太郎たちは宿敵を倒し旅を終えますが、次なる第4部では今度は日本の一地方都市で新たな物語が展開します。
承太郎やジョセフも引き続き登場するので、第3部を読んだらぜひ第4部にも進んでみてください。
第4部「ダイヤモンドは砕けない」 – 日常に潜む恐怖…杜王町サスペンスと青春群像
あらすじ
1999年、舞台は日本M県S市にある架空の地方都市杜王町(もりおうちょう)。この町に暮らす高校生東方仗助(ひがしかた じょうすけ)は、不良っぽいが心優しい性格で、リーゼント頭がトレードマーク。
実は彼はジョセフ・ジョースター(第2部主人公)の血を引く隠し子であり、承太郎とは血縁上甥と叔父の関係にあたります。
承太郎は杜王町に現れ、仗助に自分が祖父ジョセフの息子だと明かすと共に、「この町に弓と矢という謎の道具でスタンド使いが増えている」という情報を伝えます。
ちょうどその頃、仗助の身の回りでも奇妙な事件が発生。祖父(警官)が殺人鬼のスタンド使いに殺害されてしまったので。
仗助は祖父の仇を討つべく、同級生の広瀬康一や不良仲間虹村億泰らと共に町のスタンド事件を調べ始めます。どうやらかつてDIOが持っていたという「弓と矢」によって、次々と一般人がスタンド使いに“覚醒”させられているらしい。
そして杜王町で長年解決されていない女性連続失踪事件の陰にも、恐るべきスタンド使いの存在が…。仗助たちは平和な杜王町を守るため、街に潜む数々のスタンド能力者とのバトルに挑んでいきます。
やがて吉良吉影という名の殺人鬼に行き当たり、物語はサスペンスフルな展開を迎えます。
主な登場人物:主人公東方仗助は正義感と優しさに溢れるナイスガイですが、髪型のことを馬鹿にされるとブチ切れる短気な一面もあります。
彼のスタンド「クレイジー・ダイヤモンド」は触れたものを元の状態に修復する能力(治癒能力)を持ち、破壊ではなく「直す」力で戦う点がユニークです。
ただし自分自身は治せないという制約があります。仗助の仲間となる広瀬康一は心優しい小柄な少年で、成長するスタンド「エコーズ」を使います。虹村億泰は粗野だが憎めない性格で、空間を削り取るスタンド「ザ・ハンド」の使い手。仗助に助けられ友情を育みます。
さらに第3部から引き続き空条承太郎も登場し、杜王町でサポート役&参謀的ポジションを務めます。また、第4部ならではの重要キャラとして岸辺露伴がいます。
露伴は「ヘブンズドアー」という相手を本にして記憶を読むスタンドを持つ漫画家で、当初は仗助と対立しますが後に協力者となるクセ者です。
そして吉良吉影が本作のラスボスです。吉良は一見どこにでもいるサラリーマンですが、実態は「静かに暮らしたいだけ」が口癖の連続殺人鬼です。
自分の欲望(女性の手首フェチ)を満たすため30年以上も殺人を繰り返してきたという狂気の人物ですが、目立たず普通に生活することを望むという異質な悪役です。
彼のスタンド「キラークイーン」は触れたものを爆弾に変える能力で、さらに第二の爆弾「シアーハートアタック」(自動追跡爆弾)、第三の爆弾「バイツァ・ダスト」(時間を巻き戻す能力)へと進化し、仗助たちを大いに苦しめます。
見どころ・魅力
第4部はジョジョシリーズの中でも異色で、“日常の中の奇妙な事件”を描いたミステリー色の強い作品です。
杜王町という閉ざされた町が舞台なため、スケールは第3部より小さく感じるかもしれません。しかしその分、登場人物たちの日常描写や人間関係が丁寧に描かれており、学園青春もののような爽やかさと、一方で町に巣食う猟奇殺人鬼へのサスペンスが同居する独特の雰囲気があります。
仗助・康一・億泰のトリオの友情、露伴とのコミカルな掛け合い(「チープ・トリック」戦など笑える回も多い)など、キャラクターの掛け合いが楽しいのも魅力です。
一方で、吉良吉影との対決に向けて物語が進む後半は緊張感MAXです。吉良は歴代ボスの中でも異彩を放つ存在で、「仕事は真面目、趣味は殺人」という狂気と平凡さを併せ持つキャラ設定が秀逸です。
「静かに暮らしたいだけなのに…」という独白や、爪が伸びる体質で殺人欲が高まる様子など、不気味さでは群を抜いています。それだけに、仗助たちが吉良を追い詰めていくクライマックスは手に汗握る展開です。
終盤の吉良vs仗助の最終決戦では、お互いのスタンド能力を駆使した心理戦・頭脳戦が展開され、ラストには吉良の「バイツァ・ダスト」能力によるタイムループを巡る攻防などタイムサスペンス要素も加わり、読者をハラハラさせます。
最終的な吉良の末路は因果応報でありながらどこか皮肉で、「ダイヤモンド(不屈の意思)は砕けない」というタイトルの意味を噛み締める結末となっています。
名言
第4部は敵味方問わず名台詞が豊富です。主人公陣では仗助がキレた時の「この俺の髪型がサザエさんみてぇだとォ?許さねぇ!」などコミカルな怒り方が印象的。
また、康一が敵に毅然と立ち向かう際の「僕にも悪には悪の理屈があるって分かった気がします」の台詞や、露伴がヘブンズドアーで相手を本にする時の「だが断る!」(一度は相手に媚びるフリをしてから拒絶する粋なセリフ)は有名です。
露伴に関しては**「漫画家として勝てない勝負はしない主義なんでね」など、彼の偏屈さ全開の言い回しが人気を博しました。そして吉良吉影の台詞は第4部を象徴するものが多いです。
特に独白の一節「『普通の生活』それが私の望みだ。静かに暮らして穏やかに眠りたい…だが許されない!」という趣旨の台詞(※公式には具体的なモノローグがあります)が彼の狂気を物語っています。
また、吉良が放つ「シアーハートアタック!」(無敵の爆弾戦車)や「キラークイーン 第三の爆弾ッ!バイツァ・ダスト!!」といった能力発動シーンの叫びも印象に残ります。
クライマックスで康一が言い放った「吉良吉影!お前の敗因は…たったひとつだぜ…**」から始まる決め台詞も痛快なので、ぜひ実際に読んで味わってください。
補足
第4部は全19巻に及び、最初は日常コメディ寄り、中盤からサスペンスとバトルが加速する構成となっています。ジョジョ初心者には第3部に次いで人気のエピソードで、日本が舞台で登場人物も高校生中心という親しみやすさもあります。
「ドラララララ!」という仗助のラッシュ音(承太郎のオラオラに対しドラドラ)など新たな見せ場も生まれ、後のシリーズにも影響を与えました。
2017年には三池崇史監督により実写映画化(『ダイヤモンドは砕けない 第一章』)もされるなどメディア展開もされています。アニメ版第4部も評価が高く、杜王町の生活感あふれる描写がカラーで楽しめます。
第4部はジョジョの中でも群像劇的な面白さがあるので、是非ゆっくり腰を据えて味わってみてください。
第5部「黄金の風(ヴェント・アウレオ)」 – 暗黒街に吹く正義の風、ギャングスターの夢
あらすじ
舞台は2001年、情熱の国イタリア。第5部の主人公は15歳の青年ジョルノ・ジョバァーナ。
金髪に黒いスーツというスタイリッシュな風貌の彼は、一見普通の不良少年ですが、実はなんとあのDIOの息子(ただしジョナサンの肉体を乗っ取ったDIOの子)です。
イタリア語名読みでは「Giorno Giovanna(ジョルノ・ジョバーナ)」となり、彼も愛称でジョジョと呼ばれます。ジョルノは幼い頃からギャングに憧れを抱いており、「ギャングスター(ギャング+スター)」、つまり暗黒街のスターとして街を裏から浄化するという大きな夢を持っています。
ジョルノの住むネアポリス(ナポリの架空都市)はギャング組織「パッショーネ」に支配され、麻薬が街に蔓延していました。ジョルノは街を変えるため自らパッショーネに入団し、その中からボスを倒して組織のトップに成り上がることを決意します。
ョルノのスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」は生命を操る能力で、無生物に生命を与えて生物に変えたり、相手の感覚を暴走させる奇抜な力です。
パッショーネの下っ端チームに配属されたジョルノは、リーダー格のブローノ・ブチャラティと心を通わせ仲間となります。
チームのメンバーには、無口な狙撃手グイード・ミスタ(スタンド「セックス・ピストルズ」)、ギャングでありながら少年のように純真なナランチャ・ギルガ(スタンド「エアロスミス」)、冷静沈着な元警官レオーネ・アバッキオ(スタンド「ムーディー・ブルース」)、そして一時離脱しますが頭脳派のパンナコッタ・フーゴ(スタンド「パープル・ヘイズ」)ら個性的な面々がいます。
ブチャラティチームはボスからの指令で組織の重要人物である少女トリッシュ・ウナの護衛任務に就きます。実はトリッシュはボスの実娘であり、ボスは自分の正体を隠すため娘すら消そうとしていたのです。
これに気付いたブチャラティはボスに叛意を抱き、ジョルノたちと共に“裏切り”を決意。トリッシュを守りつつボスを倒すため、ヴェネツィアやローマへと逃走・反撃の旅が始まります。
物語後半、正体不明だったボスの名が「ディアボロ」であること、そしてそのスタンド「キング・クリムゾン」(時間を消し飛ばす能力)の恐るべき力が判明します。
仲間たちは次々と命を落としていく中、ジョルノのゴールド・エクスペリエンスが新たな進化(レクイエム)を遂げ、最後の決戦に挑みます…。
登場人物
上述のように第5部はブチャラティチームと呼ばれる5~6名のギャングメンバーが主人公サイドです。リーダーのブローノ・ブチャラティは20歳ながら面倒見の良い兄貴分で、スタンド「スティッキィ・フィンガーズ」は物体にジッパーをつけて開閉するユニークな能力。
彼の名台詞「覚悟はいいか?俺はできてる」や、「アリーヴェデルチ(さらばだ)」と敵をとどめ刺すシーンは本作の象徴的名場面です。ジョルノ・ジョバァーナは主人公ながら寡黙で、常に冷静沈着。
しかし仲間の死に際して怒りを燃やす熱い一面も持ち合わせます。ジョルノの名言といえば「覚悟とは暗闇の荒野に進むべき道を切り開くことだ」という独白が有名で、敵との戦いで己の信念を示した場面は多くのファンの心を打ちました。
チームの他メンバーでは、ミスタは陽気なムードメーカーで4の数字を極度に嫌う性格(テトラフォビア)。銃の弾丸を操るスタンド「セックス・ピストルズ」とともにコミカルな掛け合いも多く、第5部の癒し枠です。
ナランチャはガサツだが純粋な少年で、スタンド「エアロスミス」による索敵と爆撃で仲間を支えます。算数が苦手な彼が敵スタンドとの頭脳戦で奮闘する姿は微笑ましく、散り際の「もっと勉強してぇ…」という台詞は切ない余韻を残しました。
アバッキオは元警官ゆえに冷徹な性格ですが、最後は捜査官魂でチームに貢献し壮絶な最期を遂げます。フーゴは天才頭脳の持ち主ですが狂犬のような短気さを持ち、毒スタンドを使う彼の去就は物語序盤の一つの転換点となります。
敵側:頂点に立つボスディアボロは「二重人格」で、自身は影に隠「ドッピオ」というもう一つの人格を使って行動する異色のボスです。
彼のスタンド「キング・クリムゾン」は時間を数秒消し飛ばし、その間の出来事を無かったことにするという強力な能力で、「キング・クリムゾンの能力ですでに結果だけが残っている」という台詞が示すように作中屈指の理解不能さを誇ります。
しかしジョジョファンにはその理不尽なまでのチート能力が逆に人気です。また、道中で主人公チームと戦うパッショーネ幹部「暗殺チーム」も魅力的です。
ギアッチョやプロシュート兄貴など敵ながら漢気溢れるキャラが多く、「ブチャラティが涙を流しながら敵スタンドに立ち向かうシーン」や「プロシュート兄貴の覚悟とペッシの成長」など、敵味方問わずドラマが熱いのが第5部の特徴です。
見どころ・魅力
第5部はイタリアのギャング抗争という独特のシチュエーションが最大の魅力です。ファッションや街並みの洗練された雰囲気、登場人物たちのイタリア語交じりの掛け声(「ボラボラボラ…!」はナランチャのラッシュ音)など、スタイリッシュさではシリーズ随一でしょう。
特にブチャラティチームのメンバーは歴代屈指のイケメン揃いとして女性人気も高く、作者荒木先生も公認で「敵味方含め格好いい男キャラが多い」と語っています。
しかし内容はかなりハードで、敵味方の死闘は苛烈そのもの。味方側でも複数の死者が出る重い展開であり、それだけに各キャラの“覚悟”が強く胸に迫ります。
名バトルも多数あります。例えば列車内での「グレイトフル・デッド&ビーチ・ボーイ戦」は、老化させる敵スタンドにブチャラティが機転で挑む名勝負です。
プロシュート兄貴の執念にブチャラティが「なら自分の肉体を捨ててでも倒す!」と挑んだシーンは、第5部どころか全シリーズ屈指の名場面との呼び声も高いです。
また、鏡の中のマン・イン・ザ・ミラー戦でのF(フーゴ)の激情や、ギアッチョ戦でのミスタとジョルノの連携も熱いです。終盤のボス(ディアボロ)との最終決戦は超常的な展開になります。
ジョルノのスタンドが矢の力で「ゴールド・エクスペリエンス・レクイエム」へと進化し、ボスに対して「真実に到達できない永遠の死」を与えるという決着は衝撃的でした。
ジョルノの「これが最後の『レクイエム(鎮魂歌)』だ」という宣言は、仲間の死と夢を背負った彼だからこその台詞です。ラストはジョルノが新たな“ボス”として玉座に座るシーンで幕を閉じ、“黄金の風”がイタリアの暗黒街に吹いた瞬間を描いています。
名言
第5部も印象的な言葉が多いです。主人公ジョルノの決意表明「『覚悟』とは暗闇の荒野に進むべき道を切り開くことだ」は、そのまま作品テーマを表す名言として語り継がれています。
また、ブチャラティの「俺たちの覚悟とはッ!暗闇の荒野を切り開くことだッ!」(上記を受け継いだシーン)や、敵のプロシュートの「老いの恐怖を教えてやる、これが『覚悟』だ!」など、「覚悟」というキーワードが随所で強調されるのも第5部の特徴です。ブチャラティの口癖「覚悟はいいか?俺はできてる」も非常に人気が高いですね。
他にナランチャの死に際の「学校に…行けなくなっちまったじゃあないか…」という無念の一言、ミスタとジョルノの漫才のような掛け合い(「弾丸が6発…2発足りねぇ!」とか「4のつく部屋は嫌だ!」など)も印象深いです。
終盤ではボスの断末魔「我が『キング・クリムゾン』に敗北はない…はずだ…」という困惑も印象的で、絶対的だった悪が崩壊する様子が端的に表れています。
補足
第5部は全17巻。イタリアンな雰囲気とハードボイルドなストーリーで根強い人気を持ち、2018~2019年にはTVアニメ化もされました。
アニメ版の主題歌がイタリア語詞だったことも話題になりました。第5部は第3部と並び海外人気も高い部です。なお、第5部終了時点でジョジョの舞台は2000年代序盤まで進みました。
次の第6部では再びジョースター家(承太郎の娘)の物語に戻り、そしてそこで一つの大きな区切りを迎えることになります…。
第6部「ストーンオーシャン」 – 運命に抗う少女、受け継がれる星の血
あらすじ
物語は2011年、米国フロリダ州が舞台です。空条承太郎の実の娘空条徐倫(ジョリーン)は19歳。ある事件に巻き込まれ、無実にも関わらずグリーン・ドルフィン・ストリート刑務所という州立の巨大監獄に収監されてしまいます。
父・承太郎とは幼い頃に生き別れており反発心を抱いていた徐倫ですが、収監中に承太郎から託されたペンダントにより自分もスタンド能力に目覚めます。
徐倫のスタンド「ストーンフリー」は自身の身体を糸状にほどいて操る能力で、その力で刑務所内の危機を切り抜け始めます。
やがて承太郎が刑務所に面会に訪れますが、それは罠でした。刑務所内に潜む謎の敵スタンド使いエンリコ・プッチ神父が刺客を差し向け、承太郎はスタンドのDISC(能力の記憶)を奪われ仮死状態にされてしまいます。
プッチ神父はDIOの親友だった男で、DIOから託された「天国へ行く方法(=世界を一巡させ一巡後の新世界で天国に到達する計画)」を遂行するため、徐倫と承太郎の命を狙っていたのです。
徐倫は父のDISCを取り戻し救うべく、そして自身の無実を証明するべく、刑務所内外でプッチ神父一派との戦いに身を投じます。
徐倫の仲間となるのは、同房の囚人エルメェス・コステロ(スタンド「キッス」=シール貼付け分裂能力)。
食虫植物のような不思議少女フー・ファイターズ(プランクトン集合体のスタンド知性体)。
記憶喪失の青年ウェザー・リポート(スタンド「ウェザー・リポート」天候操作能力)。
その双子の兄で人を惹きつける妖しい男ナルシソ・アナスイ(スタンド「ダイバー・ダウン」潜行攻撃能力)ら個性的な面々です。
敵も、鏡の中に引きずり込む看守スポーツ・マックスや、絶対に動かない人形・ケンゾー老人など、牢獄ならではの奇抜なスタンド使いが次々登場します。
徐倫たちは刑務所から脱出し、エバーグレーズの湿地帯で待ち受けるプッチ神父との最終決戦に挑みます。
プッチ神父のスタンド「ホワイトスネイク」はDISCで他者の記憶や能力を抜き取る能力でしたが、彼が「天国へ行く」鍵となる“14の言葉”とDIOの骨により進化し「メイド・イン・ヘブン」は、宇宙の時間を加速させるという規格外の能力でした…。
世界の終焉が迫る中、徐倫と仲間たちは最後の戦いに全てを賭けます。
登場人物
主人公空条徐倫はシリーズ初の女性ジョジョです。明るく勝ち気な性格で、当初は家族(父)への反発心が強かったものの、運命に巻き込まれる中で父譲りの正義感と胆力を発揮していきます。
彼女の決めゼリフ「あたしの人生はあんたに預けるわ」(物語後半、ある人物に言った言葉)は、自立した女性としての覚悟を感じさせて痺れるシーンです。
スタンド「ストーン・フリー」を発現させた直後の「あたしは自分が誇りたい。自分を磨きたい。自由を手に入れたい」という宣言も、徐倫の成長を象徴する名言です。
エルメェス・コステロは徐倫の兄貴分のような喧嘩自慢の女性で、スタンド「キッス(キッシー・リップ)」は貼った対象を二つに分裂させ、剥がすと強制的に合体させる能力。復讐心を胸に刑務所に入った背景があり、彼女の復讐エピソードも第6部の胸熱シーンです。
フー・ファイターズ(F.F.)はスタンドが本体という異色のキャラで、人間の女性囚人の死体を依り代にして仲間になります。ピュアで天然なムードメーカーで、友情に厚く仲間を守る姿は感動的です。
ウェザー・リポートは寡黙な白髪男性で、記憶喪失ながら天候を自在に操る最強クラスのスタンド能力を持ちます。終盤で彼の過去が明かされ、プッチ神父との因縁が浮かび上がる展開は衝撃的でした。
アナスイはウェザーの親友で徐倫に惚れこんでおり、支離滅裂な言動ながら仲間想いの頼れる男です。
空条承太郎は徐倫の父として登場し、第3部からの経験豊富なスタープラチナで娘を守ろうとしますが、今回は娘が彼を救うため奮闘する物語でもあります。
ラスボスのエンリコ・プッチは敬虔な神父でありながらDIOの思想に心酔し、「天国に到達する」計画を進める狂信者です。
彼のスタンドは「ホワイトスネイク」→「C-MOON」→「メイド・イン・ヘブン」と段階的に進化し、特に最終形態メイド・イン・ヘブンは**「宇宙を一巡させ新世界を創る」というスケールの能力でした。
DIOの遺志を継ぐ者として、プッチ神父は不気味なカリスマを放っています。また彼に協力するスタンド使い達との戦いも、第6部の見せ場です。
たとえば赤ん坊のスタンド「ヨーヨーマッ」、サバイバーやジャンピン・ジャック・フラッシュ等、多彩な敵が登場します。
見どころ・登場人物
第6部は“運命”がキーワードです。父・承太郎から受け継いだ「星の血統」を持つ徐倫が、自身に降りかかる運命(不運や敵の陰謀)に抗い仲間と共に成長する姿は胸を打ちます。
また女性主人公&女子刑務所という異色設定から生まれる人間ドラマも魅力です。荒廃した監獄内でのサバイバルや、囚人達の生々しい人間模様が描かれ、他部にはない緊迫感があります。
友情・信頼で結ばれた仲間達との協力戦も熱く、「6人で並んで敵に立ち向かう」**といったシーンはシリーズ随一のチーム戦の醍醐味でしょう。徐倫が仲間達と固く握手を交わす場面などは感動的です。
そして第6部最大の見せ場は、シリーズの一つの結末ともいえる衝撃的なラストです。メイド・イン・ヘブンの能力で加速した時間は宇宙を一巡させ、新たな世界が誕生します。
徐倫たちは壮絶な戦いの末に運命に飲み込まれてしまいますが、最後に訪れる奇跡が読者の心に強い余韻を残しました。賛否両論を呼んだラストではありますが、「ジョジョ」という物語の一区切りとして非常に印象深く、ここでPart1から続いたジョースター家VSディオの因縁が完結します。
名言
第6部も名言が数多くあります。徐倫のセリフでは、たとえば敵スタンドの罠で危機に陥ったときに放った「復讐とかそんなことどうでもいい!あたしは自分を誇りたいの!」という叫びが印象的です。
また、「このあたし空条徐倫がッ!裁くッ!!」と悪人にとどめを刺す場面など、女性キャラながら凛々しく格好いい台詞が光ります。
承太郎も健在で、娘への愛情を表す「てめーに娘はやらん」的なセリフ(※徐倫に近づくアナスイに対して言った)で読者をクスリとさせました。
敵側ではプッチ神父の「我が名はプッチ!徐倫、君の敗北は決定しているのだ!」や、能力発動時の「メイド・イン・ヘブン!!」の叫び、DIOの「天国」について語るシーンでの「覚悟するんだな…」などが印象に残ります。
ウェザー・リポートが生み出した「かたつむり雨」の奇怪さに震えたり、エンポリオ(物語後半の鍵を握る少年)に託された希望に泣かされた読者も多いでしょう。
補足
第6部は全17巻。シリーズ前半と後半でガラリと展開が変わるため、連載当時は読者の驚きも大きかった部です。
2021~2022年にNetflixで先行配信・TV放送されたアニメ『ストーンオーシャン』でも、その結末が話題になりました。第6部のラストにて、それまでの世界が一巡してしまったため、ここで“初代ジョジョから続く物語”は一旦完結を迎えます。
次の第7部からは設定を引き継ぎつつもパラレルワールドの新たな物語として再スタートすることになります。
長年ジョジョを追ってきたファンにとって第6部の結末は衝撃でしたが、荒木先生は「物語を再構築して新たな世界を書きたかった」と語っています。その大胆な展開も含め、第6部はジョジョ史に残るターニングポイントの部と言えるでしょう。
第7部「STEEL BALL RUN(スティール・ボール・ラン)」 – 歴史改変西部劇、大陸横断レースの果てに
あらすじ
時代は遡り1890年。ここからは第7部~9部は新たな世界線で展開します。第7部「スティール・ボール・ラン」はアメリカ大陸横断レースを題材にした物語です。
億万長者スティーブン・スティールが主催する全長6000kmに及ぶ大レース「スティール・ボール・ラン」がサンディエゴビーチ(西海岸)からニューヨークをゴールに開催されることになりました。
世界中から集まった参加者たちの中に、かつて落馬事故で下半身不随となった元天才騎手ジョニィ・ジョースター(19歳)の姿がありました。
ジョニィは「奇跡の鉄球使い」ジャイロ・ツェペリと出会い、その鉄球の技(回転の力)に触れたことで再び歩ける可能性を見出します。彼はジャイロと共にレースに参加し、ゴールを目指す中で自身の足を治す“秘密”を得ようと決意します。
イタリア人処刑人の息子ジャイロ・ツェペリ(24歳)は、このレースに「ある少年を救う」という密命を帯びて参加していました。彼の武器は回転エネルギーを秘めた鋼鉄球(スティール・ボール)で、ツェペリ一族に伝わる秘技「回転(ローマの遺体から得た技術)」を操ります。
ジョニィはその鉄球の力で足に感覚が戻ったことからジャイロを師と仰ぎ、共に行動するようになります。
レース序盤は様々な強豪参加者との競争とバトルが描かれます。銃の達人ディオ・ブランドー(第1部のディオとは別人だが皮肉にも吸血鬼能力を得る)、砂使いのサンドマン、女性ガンマンのマウンテン・ティム、インド人レーサーのサウンドマンなど多彩なキャラが競います。
やがて物語は、このレースの陰でアメリカ大統領ファニー・ヴァレンタインが極秘裏に進める野望へと焦点が移ります。大統領は、レースの各所に隠された「聖人の遺体(聖なる遺骸)」のパーツを集めることで国家を繁栄させようと画策していました。
ヴァレンタイン大統領のスタンド「D4C(ダーティー・ディーズ・ダン・ダート・チープ)」は並行世界を行き来する能力で、遺体争奪戦の中で圧倒的な力を振るいます。
ジョニィとジャイロも成り行きで遺体争奪に巻き込まれ、大統領側についた刺客たち(リンゴォ・ロードアゲイン、アクセルRO、ブラックモアなど)と死闘を繰り広げます。
そして終盤、ヴァレンタイン大統領との最終決戦では、ジャイロの命を賭した“究極の回転”と、ジョニィの新たなスタンド能力**「タスクACT4」(無限の回転パワー)の発動によって勝機が生まれます。
激戦の末、大統領は倒されますが、直後に別世界のディエゴ・ブランドー(並行世界のディオ)が遺体とD4Cの力を引き継ぎ、最後の敵として立ちはだかります…。
果たして大レースの行方と“聖人の遺体”の運命は? そしてジョニィが足を治し掴んだものとは? 波乱に満ちた物語の結末は、ぜひ実際に読んで確かめてください。
登場人物
主人公ジョニィ・ジョースターはかつて天才騎手と呼ばれた青年ですが、落馬事故で半身不随となり人生のどん底にいました。内向的でやや投げやりな性格でしたが、ジャイロとの出会いで生きる希望を取り戻し成長していきます。
最初はスタンドも持たなかった彼ですが、旅の中で聖人の遺体の力に触れ「タスク」という爪弾(爪を回転させ弾丸のように撃つスタンド)を身につけ、物語が進むごとにACT1~4へと進化させていきます。
ジョニィの「遺体は渡さない!ジャイロとの黄金の精神にかけて!」という決意表明や、終盤ジャイロを失った際の慟哭「ジャイロォォォ!!」など、弱かった彼が真の強さを手に入れる過程は胸を打ちます。
ジャイロ・ツェペリは明朗快活でおちゃらけた一面と職人肌の真面目さを併せ持つ人物。鉄球と騎乗テクニックに関して天才的な腕前を持ち、またジョーク好きで作中「レッスン」と称した持論や下ネタソング(ピザ・モッツァレラの歌など)を披露するムードメーカーでもあります。
ジャイロの名台詞といえば「真実に向かおうとする意志、それが黄金の旋風(ゴールド・スピリット)となる!」や、死闘に赴く際の「乾杯しよう、勝利と友情に!」などでしょうか。
彼は第2部ツェペリの孫シーザー以来の「ジョジョの相棒キャラ」として人気が高く、その生き様は第7部の感動ポイントとなっています。
ファニー・ヴァレンタイン大統領は本作のラスボスで、愛国心ゆえに非情な決断も厭わない男。スタンド「D4C」による平行世界から自身を呼び込むというチート能力で何度も復活する様はまさに不死身でした。
彼の信条「愛する祖国のためならば、悪ですら味方する」は敵ながら一本筋が通っており、一概に完全な悪人とも言えない深みがあります。対峙するジョニィとのやりとりでは「おまえの信じる正義はわたしにとっての悪だ」というような価値観の衝突が描かれ、読み応えがあります。
他の登場人物として、第7部には歴代キャラをオマージュした人物が多数出ます。例えば女性レース参加者のルーシー・スティールは後半重要な役割を果たし、若き女性ながら勇敢に大統領に挑みます。
敵キャラも魅力的で、上院議員に憑依する奇妙なスタンド「20世紀少年」のマイクOや、時間を止める世界(ザ・ワールド)を使うディエゴ・ブランドー(ディオ)は最後の刺客として存在感を示しました。
見どころ・魅力
第7部は「ジョジョ版・西部劇&レース活劇」とでも言うべき作品です。大陸横断レースというスピード感ある展開の中で、騎馬アクションやガンマン戦など、従来とひと味違うダイナミックなバトルが楽しめます。
キャラクター同士のドラマも丁寧で、ジョニィとジャイロの師弟を超えた友情が物語の軸として強く心に残ります。
ジャイロの教えや二人の絆がジョニィの成長を支え、それが最終決戦で黄金の回転(無限の回転パワー)に繋がる展開は鳥肌ものです。また、歴代ジョジョシリーズへのオマージュ・逆輸入要素もファンを楽しませました。
特に敵ディエゴ・ブランドーが「世界(ザ・ワールド)」**のスタンドを得て時間停止能力を披露したときは、第3部への最大のリスペクトとして大いに話題になりました。
バトルシーンでは、リンゴォ・ロードアゲインとの決闘(決闘の緊張感と「いともたやすく行われるえげつない行為」の名台詞で知られる)、アクセルRO戦(ジャイロとジョニィのダブル決着)など各戦いが非常に濃密です。
特にリンゴォ戦はジャイロの精神的成長に繋がる重要なエピソードで、「真の男とは結果ではなく真実を求めるもの」というリンゴォの哲学や死に様は敵ながら格好良く、多くの読者に印象を残しました。
クライマックスのヴァレンタイン大統領戦は、「愛国心 vs 黄金の精神」のぶつかり合いというテーマ性も相まって壮絶でした。
無限に復活する大統領を前に折れそうになるジョニィが、ジャイロから受け継いだ「真実(黄金の回転)」で打ち勝つ瞬間は感涙ものです。
その後のディエゴとの最終局面も含め、最後まで息をつかせぬ展開が続きます。物語のラストシーンは、第7部全体を通じて流れていたあるメッセージを示唆しており、とても余韻があります(ここでは伏せますが、読み終えた後の読者にはきっと伝わるはずです)。
名言
第7部は哲学的な名ゼリフが多いです。リンゴォの「いともたやすく行われるえげつない行為(Dojya~~n)」**はジョジョ史上でも異彩を放つフレーズで、一時ネットミームにもなりました。
他にジャイロの「遅かったじゃあないか」(遅れて登場する際のキメ台詞)や、「覚悟はいいか?俺はできてる」(これはブチャラティから引き継いだかのように言う場面あり)も痺れます。
ジョニィの決意「おれは決して紳士なんかじゃないが…覚悟はできている」や、大統領の「我が心の正義は揺るがない」など、熱い台詞が目白押しです。
ジャイロが残した言葉「遅いわけじゃあない…必要な寄り道だったんだ」(人生の遠回りも意味があるという趣旨)も、第7部のテーマを象徴するものとしてファンの胸に刻まれています。
補足
第7部は全24巻と長編ですが、月刊連載へ移行したことで画力がさらに向上し、緻密な絵と迫力あるシーンが堪能できます。
2004年から2011年まで連載され、シリーズ中盤からは「ジョジョの奇妙な冒険 Part7」として正式に位置付けられました。ファンの間でも物語の完成度が非常に高い部として評価が高く、「ジョジョ最高傑作はPart7」という声も少なくありません。
2025年現在、アニメ化が強く望まれている部でもあります。第7部はジョジョの新章の始まりにして一つの集大成的な物語ですので、ぜひ読んでみてください。
第8部「ジョジョリオン」 – 呪われた血統、記憶を求める物語
あらすじ
第8部は2011年の日本・杜王町が舞台ですが、第4部とは異なる新世界の杜王町です。東日本大震災後に杜王町に現れた不思議な地形「壁の目」。その近くで女子大生広瀬康穂は、全裸で地中に埋まっている記憶喪失の青年を発見します。
青年は眼球が4つ(左右の虹彩が二重)あり、過去の記憶も自分の名前も分からない状態。康穂は彼を保護し、名を東方定助(ひがしかた じょうすけ)と名付けます。
定助は康穂を通じて、杜王町の名家・東方家に迎え入れられ、当主・東方憲助から戸籍上「吉良吉影」という人物と身体の一部が一致することを知らされます。
実は定助の正体は、東方家の先祖である初代吉良と初代ジョースター(第7部ジョニィ)から続く「呪われた血統」に深く関わる存在でした…。
定助は自分が何者かを探るため、杜王町に伝わる等価交換の果実「ロカカカ」の謎を追うことになります。ロカカカとは食べると身体の一部を別の何かと「交換」する奇妙な果実で、東方家ではかつてこの力で家系にかかった呪い(病)を治そうとしていた過去がありました。
定助と康穂はロカカカを巡り、密かに暗躍する「岩人間」という人型生命体たちと対峙していきます。岩人間たちはロカカカの「新種(ロカカカの枝)」を狙っており、定助たちは東方家に代々仕える執事の岩人間・豆銑礼らの協力も得て、敵に立ち向かいます。
物語中盤、定助の正体が吉良吉影(第8部世界の)と東方家四男・東方常敏の兄「空条仗世文(すけよしぶん)」という人物の融合体であることが判明します。
過去に壁の目の下でロカカカによる「等価交換」が起き、瀕死だった吉良と仗世文が一つの肉体(定助)に入れ替わり生まれた存在だったのです。
二人の名前を組み合わせ“ジョースケ”と名付けられた定助は、自分自身の半身とも言える仗世文の記憶や吉良の遺志を胸に、ロカカカや岩人間の謎の核心へと迫ります。
クライマックスでは、岩人間たちの黒幕「院長」こと岩人間・托努(トオル)が姿を現します。彼のスタンド「ワンダー・オブ・U」**は、追おうとする者に厄災を降り注がせる凶悪な能力で、定助たちを窮地に陥れます。
東方家も巻き込んだ死闘の末、定助と康穂はトオルから新ロカカカの等価交換を引き出し、呪いを断ち切ろうとしますが…。物語は衝撃的な結末を迎え、第8部で張られた幾多の伏線は明かされたものも謎のままのものも残しつつ、幕を閉じます。
登場人物
主人公東方定助は、記憶こそ無いものの生来の優しさと芯の強さを持った青年です。自分探しをする中で東方家に受け入れられ、家族との交流や康穂との絆を深めていきます。
定助のスタンド「ソフト&ウェット」は触れた物体から「何か」を奪い取る能力(例:摩擦、記憶など)で、シャボン玉状の泡を飛ばして戦います。
途中から吉良のスタンド「キラークイーン」の能力も併せ持ち、シャボン玉を爆弾化させる技も使えるようになります。
定助は「壁の目に埋まっていた8月19日生まれの男」などと自己紹介したりしますが、名前にジョジョのような愛称は持ちません(読者からは仗世文の愛称「ジョジョ(JoJof)」が一応ジョジョに相当すると言われます)。
ヒロインの広瀬康穂は正義感が強く快活な女性で、スタンド「ペイズリー・パーク」は電子機器を介して情報世界を自在に行き来する探索能力です。康穂は定助の良き理解者かつ支えとなり、二人三脚で謎解きに挑みます。
東方家の人々も個性豊かで、当主東方憲助(定助の“曾祖父”にあたる温厚な老人)、長男常敏(頭脳明晰だが野心家、スタンド「スピードキング」熱を操る能力)、長女花都(岩人間とのハーフ)、次男・三男は幼子で、さらに常敏の妻・東方つるぎ(実は女装した息子で紙を折り操る「ペーパームーンキング」)など複雑な家系です。
彼ら東方一家も呪いに苦しめられており、ロカカカの秘密に関わってきます。
岩人間サイドのキャラでは、敵味方にいくつか勢力があります。東方家に仕える豆銑礼(まめづくし れい)は岩人間ながら義侠心があり、スタンド「ダーブス・トゥ・ダスト」で定助らを補助します。
敵としてはロカカカ研究組織の岩人間・A.Phex兄弟や、果樹園を営む岩人間田最環(だも たまき)、動物のような知能の岩昆虫などが襲ってきます。中でもラスボス托努・トオルは康穂の元カレを装って近づいていた黒幕で、人間社会に溶け込んで暗躍していました。
彼のスタンド「ワンダー・オブ・U(憂う者の魂)」による厄災からは決して逃れられないという絶望感は、第8部終盤の恐怖の源でした。
見どころ・魅力
第8部「ジョジョリオン」は、タイトルが「ジョジョ」と「オリオン(繋がり)」を掛けているように、“記憶と絆”がテーマのミステリアスな物語です。シリーズ最多クラスに謎が多く、サスペンス要素や伏線が張り巡らされています。
記憶喪失の主人公が少しずつ過去を辿るプロットや、杜王町の地下に隠された秘密、ロカカカに秘められた等価交換の真相など、謎解きの面白さはジョジョ屈指でしょう。
スタンド能力もより複雑さを増し、敵の厄介さはナンバーワンかもしれません。特にラスボスの厄災攻撃は対策不能なほど強力で、徐倫vsプッチ神父にも匹敵する追い詰められ感がありました。定助たちがそれをどう攻略するかがクライマックスの見所です。
また、第8部は震災後の杜王町という実在の出来事も反映された舞台であり、社会風刺的な側面も感じられます。主人公が自らの存在意義を探す姿や、東方家の長き因縁を断ち切ろうと奔走する様は、ときに哲学的でもあります。
ストーリー全体は第4部へのオマージュも随所にありながら全く別の作品性を持ち、ジョジョシリーズの中でも異彩を放っています。
名バトルとしては、田最環との「ホットパンツ&定助 vs 田最環」戦や、カレラを巻き込んだ「シュガーマウンテンの泉」のエピソードなどが挙げられます。もっとも、ジョジョリオンは戦闘よりも謎解きとドラマ重視な部と言えます。
終盤の托努との戦いでは、定助・康穂・常敏・豆銑礼らが取った作戦が非常に頭脳的で、明かされた真相には驚かされました。物語ラストは賛否ありつつも、「ジョジョリオン」という題名の意味が回収される感動的な演出となっています。
名言
第8部は台詞回しが全体に抑制された印象ですが、その中でも「壁の目で出会ったのは偶然じゃない」(康穂が定助に言った言葉)や、豆銑礼の「あんたは呪いを解け」という激励など、心に残るフレーズがあります。
定助のキャラクター性ゆえか「グレートですよこいつはぁ~」(仗世文由来の口癖)以外の叫び系台詞は少なめですが、彼が自分の名前を取り戻すシーンは大きな見せ場です。
また、托努が放つ「東方定助はどこですか?」という不気味な問いかけは、読者にも強烈な印象を残しました。全体的に台詞で魅せるというよりは、ミステリアスなストーリー展開そのものが第8部の魅力となっています。
補足
第8部は全27巻。2011年から2021年まで連載され、作者荒木先生いわく「震災後の新たな物語として描いた」とのことです。
ジョジョリオン完結後、しばらくして2023年より第9部が開始されました。第8部は謎が多く読者に考察の余地を与える作品だったため、完結後も様々な議論が交わされています。
ある意味ジョジョ最大の難解さを誇る部ですが、その分読み応えは十分です。第9部ではまたガラリと趣向が変わるため、第8部までの集大成として一度振り返ってみるのも良いでしょう。
第9部「The JOJOLands(ザ・ジョジョランズ)」 – 南国の荒ぶる冒険、小さなギャングスターの野望
あらすじ
舞台は現代(2020年代)のハワイ・オアフ島。シリーズ最新の第9部「The JOJOLands(ザ・ジョジョランズ)」は、第7部・第8部と同じくパラレルワールドの物語です。
主人公は15歳の少年ジョディオ・ジョースター。
ジョディオは幼い頃から犯罪に手を染めており、裏社会の運び屋として暗躍する不良少年です。彼には「この世界の仕組み(メカニズム)の頂点に立ち、大富豪になる」という野望があり、そのために日々お金を稼いでいます。
ジョディオのスタンド「November Rain」は雨のように降り注ぐ重力の雨粒で相手を押し潰す能力で、兄のように慕う姉(兄?)ドラゴナ・ジョースターのスタンド「Smooth Operators」(物体の位置を自在にずらす能力)と協力して、学校に通いながら裏社会の仕事をこなしています。
ある日ジョディオとドラゴナは、ボスであるメリル・メイから「日本人の大富豪が持ち込んだ約600万ドル相当のピンクダイヤを強奪せよ」とのミッションを与えられます。
チームには二人に加え、筋骨隆々の同級生パコ・ラブランテス(スタンド「The Hustle」で筋肉を収縮させスリ能力を持つ)、そしてボスが送り込んだ謎の少年ウサギ・アロハオエ(スタンド「パイズリー・パークじゃなくて、なんだっけ?まだ詳細不明の能力?」)が加わり、計4人でターゲットの豪邸に潜入することになります。
彼らがターゲットとして向かったハワイ島の別荘には、なんとかつて杜王町に住んでいた漫画家岸辺露伴(パラレルワールド版)が滞在していました。
露伴の金庫からダイヤを盗み出そうとするジョディオ達でしたが、露伴の隠し持つ「溶岩のような謎の物質」の罠にかかり危機に陥ります。しかしジョディオは咄嗟の機転で露伴から溶岩とダイヤを奪取し、露伴も彼を「面白いヤツだ」と認めてそのまま大人しく引き下がります。
「君は大富豪になれるよ」という露伴の言葉を背に、ジョディオ達はダイヤと“謎の溶岩”を持ってオアフ島へ戻る途中、空港で正体不明のスタンド使いに襲撃されます。
彼は溶岩を追う岩人間で、行方不明の弟を探してその糸口として溶岩を狙っていました。ジョディオ達は彼チャーミング・マンと一時休戦し、チームに迎え入れることに成功します。
物語は現在進行中で、ジョディオ達はメリル・メイから与えられる次なる指令に向けて動き出したところです(2025年時点でまだ連載序盤のため、詳しい展開は伏せます)。
登場人物
主人公ジョディオ・ジョースターは、第5部ジョルノを彷彿とさせる野心家ですが、かなり粗暴で短絡的な面も持ちます。家族思いな一面もあり、母親バーバラ・アンを守るため裏稼業に精を出すという背景もあります。
スタンド「ノーヴェンバー・レイン」は雨のスタンドで、雨粒の落ちた対象に局所的な強重力をかけて押し潰す能力です。対象以外には効果がないため味方に被害はなく、奇襲攻撃に向いた強力なパワースタンドです。
ドラゴナ・ジョースターはジョディオの実の兄(戸籍上は男ですが女性として生活している)で、スタンド「スムーズ・オペレイターズ」は複数の小さなスタンド達が対象の位置を物理的にずらす(例:人体の顔面位置をスライドさせ変形させる等)能力です。
おおらかで仲間想い、ファッション好きな性格で、ジョディオにとって道徳的なブレーキ役でもあります。
パコ・ラブランテスは耳が欠損した元チンピラで、筋肉で物を掴んだり貼り付けたりできるスタンド「ザ・ハッスル」の使い手。喧嘩っ早く金にがめつい性格ですが、憎めない三枚目キャラです。
ウサギ・アロハオエはまだ謎多きキャラで、スタンド「マニック・デプレッション」(仮称)の能力も判然としていませんが、動物と意思疎通ができたり瞬間移動のようなことをしてみせたりしています。飄々として掴みどころがなく、今後の鍵を握る可能性があります。
敵/協力者のチャーミング・マン(本名不明)は岩人間のスタンド使いで、液状化能力のようなスタンドを使います。敵だったのが紆余曲折でチーム加入しましたが、本心は不明です。
メリル・メイ・チーはジョディオ達のボスで高校校長でもあります。人たらしなカリスマ女性で、彼女もスタンド使いらしい描写がありますがまだ謎です。露伴先生がゲスト出演したのも話題で、彼のスタンド「ヘブンズ・ドアー」は健在でした。
見どころ・魅力
第9部は連載開始直後から、「ジョジョが南国犯罪アクションに!?」と話題を呼びました。カラッと明るいハワイを舞台に、歴代でも突出してアウトローな主人公が活躍する物語となっています。
少年犯罪チームのロードムービー的なノリといい、かつてのPart5・Part3を思わせる雰囲気もあります。一方で、序盤から岸辺露伴の登場や“溶岩”という謎アイテムなど、シリーズ過去作との繋がりや伏線が散りばめられ、ファンの考察意欲を掻き立てています。
バトルシーンはまだ序盤ですが、露伴の「ヘブンズ・ドアー」に対してジョディオが機転で対抗したり、空港での戦闘ではジョディオ達のスタンド能力連携が描かれたりと、チーム戦の魅力が出ています。
第9部は恐らくジョジョの最終章との噂もあり、今後第7部・8部の設定とどう繋がるのか、大きな注目を集めています。ジョディオの成長物語としても、彼がギャングスター(大富豪)になるという夢がどんな結末を迎えるのか楽しみです。
名言
第9部はまだ始まったばかりですが、ジョディオの独白「この物語は俺が大金持ちになるまでの話」は物語のテーマを端的に表すフレーズとして印象的です。
また露伴がジョディオに言った「君は大富豪になれる」という言葉もキーポイントでしょう。ジョディオの危険な性格を示すエピソードとして、学校のいじめっ子にバスごと火をつけた事件の回想もショッキングで、「20人くらい火傷させてやった」と涼しい顔で語るジョディオにゾクっとさせられます。
しかしその動機が「兄ドラゴナを守るため」だったことも語られ、彼の歪んだ優しさと狂気が垣間見える名(迷)シーンです。
補足
第9部『The JOJOLands』は2023年2月よりUltra Jumpで連載中(2025年現在)です。
単行本も既刊5巻まで発売されています。物語は始まったばかりで、今後どのような展開になるか未知数ですが、30年以上続くジョジョシリーズの最新・最終章とも噂され、期待が高まっています。毎月の展開から目が離せません。
ジョジョの奇妙な冒険 第1部~第9部までの各部ストーリー概要と魅力を紹介しました。
ジョジョシリーズはそれぞれの部で主人公や世界観が変わりながらも、一貫して「人間賛歌」と「受け継がれる魂」を描いています。
読む順番に迷ったら、まずは興味を惹かれた部から始めてみるのも良いでしょう。その部が面白ければ、きっと他の部も読みたくなり、結果的に全シリーズを制覇してしまうはずです。
アニメと漫画の違い・メディアミックス展開

ジョジョシリーズは漫画だけでなく様々なメディアミックスが展開されています。ここではアニメ版との違いや、その他の関連作品について紹介します。
アニメ版の魅力と違い
ジョジョのTVアニメは2012年からDavid Production制作でシリーズ化され、2023年時点で第6部まで映像化されています。
アニメ版は原作の独特な絵柄・擬音・ポージングを見事に再現しつつ、色彩豊かな演出やBGM、声優陣の熱演でスタイリッシュかつ熱い世界を作り上げました。
とくに第3部DIO戦の「ロードローラー」や、第5部ジョルノの覚悟シーンなど、名場面が動くことでファンを歓喜させました。
オープニング・エンディング曲にも原作リスペクトが感じられ、たとえば1部OP「ジョジョ~その血の運命~」や2部EDに洋楽「Roundabout」を起用したことなど話題になりました。
一方、TV放送の都合上一部表現の変更・カットもあります。血や暴力シーンのモザイク処理、承太郎の喫煙シーンが影絵になる(未成年喫煙描写規制)など細かな修正が見られます。
また、原作のテンポを整えるためごく一部エピソードが省略・簡略化されていることもあります(例:第4部の虫喰いの試練カットなど)。とはいえ、ストーリー自体はほぼ原作通り進行するので、初見でも安心して楽しめます。
アニメオリジナルの演出としては、第2部のカーズ最期に真の柱の男たちがチラ映えするシーンや、第4部の「シアーハートアタック」に追われる演出強化など枚挙に暇がありません。
総じてアニメ版は「愛のある丁寧な映像化」であり、原作ファンからも高評価を得ています。漫画でジョジョの虜になった方も、ぜひアニメ版で動くジョジョ達を堪能してみてください。
実写映画・ドラマ・舞台など
ジョジョは実写にも展開しています。2017年には三池崇史監督により映画『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』が公開され、第4部の序盤(アンジェロ岩まで)を実写化しました。
興収的に続編は制作されていませんが、俳優の熱演やスタンド描写などチャレンジングな試みでした。
また、ジョジョのスピンオフ『岸辺露伴は動かない』はNHKで2020年から2022年にかけて実写ドラマ化され、岸辺露伴役を高橋一生さんが演じて話題になりました。
さらに2023年にはその映画版『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』も公開され、荒木先生描き下ろしのエピソードを原作に実写映画化されています。
2024年にはなんと舞台『ジョジョの奇妙な冒険 ファントムブラッド』のミュージカルも上演され、ジョジョ初のミュージカル化として注目を浴びました。
このように実写・舞台方面でもジョジョは根強い人気コンテンツなのです。
ゲーム・グッズ等
ジョジョは昔からゲーム化にも恵まれています。1990年代には第3部を元にした格闘ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険』(CAPCOM)が名作として知られ、2013年には歴代キャラ総出演の対戦ゲーム『オールスターバトル』が発売、2022年にはリマスター版も出ています。
他にもスマホゲーやソーシャルゲームもリリースされ、ジョジョのスタンドバトルを自分で体験できます。グッズではフィギュア、アパレル、アクセサリーなどコラボ多数で、荒木飛呂彦先生自らが高級ブランドGUCCIやコスメとコラボした企画も有名です。
2012年には原画展「ジョジョ展」が開催され大盛況、以後も各地で展覧会が開かれています。ジョジョのポーズを模した「ジョジョ立ち」の写真集や、公式ファンブック、スタンド図鑑、さらには荒木先生の教養エッセイ『荒木飛呂彦の漫画術』など、関連書籍も充実しています。
ジョジョの世界観は漫画という枠を超え、ファッションや音楽など広範なカルチャーに影響を与えているといっても過言ではありません。
小説・スピンオフ作品

先に少し触れましたが、ジョジョシリーズにはスピンオフ小説・漫画も多数存在します。
代表的なものを挙げると、
タイトル | 形式 | 内容・概要 | 作者 |
---|---|---|---|
岸辺露伴は動かない | 漫画(短編シリーズ) | 第4部の登場人物・岸辺露伴が奇怪な事件に巻き込まれるスピンオフ | 荒木飛呂彦 |
恥知らずのパープルヘイズ | 小説 | 第5部の後日談。フーゴが主人公として描かれる | 上遠野浩平 |
The Book 4th Another Day | 小説 | 第4部の後日談ミステリー。広瀬康一が主人公 | 乙一(乙一名義) |
JOJO’S BIZARRE ADVENTURE Over Heaven | 小説 | DIOの視点で語られる“天国”に関する謎 | 西尾維新 |
JORGE JOESTAR(ジョージ・ジョースター) | 小説 | 歴代シリーズを超えて展開される超次元SF・群像劇 | 舞城王太郎 |
さらに最近では第3部と第4部を繋ぐ漫画『クレイジー・Dの悪霊的失恋』(上遠野浩平・原作、小説版も有)など、新規スピンオフ作品も発表されています。
スピンオフは公式パラレル的な位置付けのものも多いですが、ジョジョの世界を補完・拡張するものとしてファン必見です。
特に『岸辺露伴は動かない』シリーズは荒木先生がライフワーク的に描いており、漫画版・OVA版・実写版と幅広く展開している人気スピンオフです。
以上のように、ジョジョは漫画原作を中心にアニメ・ゲーム・小説・実写など多岐にわたって楽しまれているコンテンツです。まずは漫画でその魅力に触れ、アニメで熱狂し、さらにスピンオフやイベントで沼にハマる…というのがお決まりのコースかもしれません。
単行本情報と集め方・入手方法

最後に、ジョジョの漫画単行本について基本情報をまとめます。これから集めたい方は参考にしてください。
単行本の巻数とシリーズ区分
ジョジョの漫画単行本は、現在通算131巻+(第9部継続中)発刊されています。各部ごとの巻数は以下の通りです。
- 第1部:1~5巻(全5巻)
- 第2部:5~12巻(全8巻)
- 第3部:12~28巻(全17巻)
- 第4部:29~47巻(全19巻)
- 第5部:47~63巻(全17巻)
- 第6部:STONE OCEAN 1~17巻(通算64~80巻相当)
- 第7部:STEEL BALL RUN 1~24巻(通算81~104巻相当)
- 第8部:JOJOLION 1~27巻(通算105~131巻)
- 第9部:The JOJOLands 1~ (連載中、2025年月7月17日6巻発売)
上記のように、第5部までは「ジョジョの奇妙な冒険」名義で通巻されていますが、第6部以降は各部ごとにタイトルが付き巻数もリセットされています。
ただし通巻表示も併記されており、ファンの間では通算◯巻といった呼び方もされます。
集める際のポイントとして、第1部~第5部まではジャンプコミックス版 全63巻で一つのまとまり、第6部以降はPart6~Part9のシリーズ単行本として分かれていると考えると分かりやすいでしょう。
単行本の種類
ジョジョの漫画は、通常のジャンプコミックス版の他にいくつか再編集版が存在します。
文庫版
2002年~2004年に第1部~第6部が文庫サイズで再刊されました。全50巻で、各部ごとに巻末に解説が付いています。
サイズが小さく持ち運びやすいですが、巻頭カラーや作者コメントが省略されている点がデメリットです。入手性は古書店中心ですがネット購入も可能です。
ジョジョニウム(JoJonium)版
2014年前後に第1部~第3部が新装丁・新装画で刊行された愛蔵版コミックスです。A5判サイズで各部ごとに巻数調整され、美麗なカバーイラストとカラーページ収録が特徴です。
第1部全3巻、第2部全4巻、第3部全10巻で、コレクション用途に人気があります。
廉価版(コンビニコミック)
ジャンプ・コミックスのコンビニ廉価版として、ジョジョもエピソード毎にまとめられた分冊が発売されたことがあります(例:「スターダストクルセイダース〇〇編」など)。
現在は品薄ですが、見かけたら手軽に読める選択肢です。
デジタルカラー版
集英社のデジタル配信限定で、ジョジョ第1部~第8部の全ページフルカラー版コミックスが配信中です。
カラーで読みたい方や電子派にはこちらもおすすめです。少年ジャンプ+や各電子書籍ストアで購入できます。
入手方法(紙・電子)
紙の単行本は全国の書店やネット通販、古書店などで購入できます。
最新第9部まで揃えるにはかなりの冊数になりますが、最近ではセット販売も充実しており、Amazon等で「ジョジョの奇妙な冒険 全◯巻セット」の新品・中古が手に入ります。
中古なら比較的安く全巻揃えることも可能ですが、巻によっては状態や在庫にばらつきがあるので注意しましょう。
電子書籍で読む場合、少年ジャンプ+アプリでは第1話や各部冒頭が無料公開されているほか、定期的に全巻試し読みキャンペーンを行っています。
また主要な電子書店(Kindle、楽天Kobo、BookLiveなど)でジャンプコミックス版(白黒)とデジタルカラー版が購入できます。特にカラー版は紙では味わえない迫力がありおすすめです。
最近は月額制の読み放題サービス等でもジョジョが配信対象になることがあります(ジャンプ系のサブスク等)。
ただ、全シリーズを通して読むなら購入して手元or端末に置くのが安心でしょう。ジョジョは何度も読み返したくなる作品なので、自分のペースでじっくり読むためにも、コレクションして損はありません。
集める際の注意点
第1部~第5部については前述のように通巻で繋がっており、例えば5巻や12巻など部の切れ目で重複する巻があります。
最初からまとめ買いする場合は問題ありませんが、途中から買い足す場合「47巻は第4部最終巻かつ第5部第1巻」「5巻は第1部最終巻かつ第2部第1巻」のように内容が混在しています。その点を理解して集めると良いでしょう。
あるいは文庫版やJoJonium版で部単位で集める手もあります(その場合第4部以降は未刊行なのでまたJC版に戻る必要があります)。
また、漫画版とアニメ版でセリフのニュアンスや演出が異なる箇所もあります。漫画で読んでからアニメを観ると、同じシーンでも感じ方が変わったり新たな発見があるでしょう。
例えばジョジョ第5部の「ギャングダンス」や第6部のラストバトルなど、アニメで映像化されて改めて話題になったシーンもあります。
漫画でピンと来なかった部分もアニメで理解できることがありますし、その逆も然りです。両方楽しむことでジョジョ体験は倍増します。
最後に、ジョジョを読む際の心構えですが、ぜひネタバレには注意してください。ジョジョには驚きの展開や仕掛けがたくさんあるので、初読の感動を大事にしましょう。
幸いジョジョファンはネタバレ配慮が上手な方が多い印象です。興味が湧いたら迷わず本編に飛び込み、奇妙な冒険の世界にどっぷり浸かってください。
「ジョジョ」読む順番:まとめ
長大な記事となりましたが、ジョジョの奇妙な冒険シリーズの読む順番や各部の魅力について網羅的に解説してきました。最後に要点を振り返ります。
- 読む順番は自由だが、基本は第1部から発表順がおすすめ。
- 各部独立していますが、通して読むことで世代を超えたテーマや伏線回収が楽しめます。時系列順やアニメ順でもOKですが、まずは好きな方法でジョジョの世界に触れてみましょう。
- 各部ごとに主人公・設定が異なり、作品の雰囲気も変化。
- 吸血鬼ホラーの1部、冒険活劇の2部、旅バトルの3部、日常サスペンスの4部、ギャング群像の5部、運命との対峙6部、西部劇レースの7部、ミステリー8部、南国クライム9部と、多彩なジャンルが詰まっています。それぞれに名シーン・名セリフがあり、どの部からでもハマるポイントがあります。
- 初心者はまず自分の興味に合う部から読んでもOK。
- ホラー好きは1部・4部、バトル好きは3部・5部、推理好きは8部、荒木先生のデザインセンス堪能なら7部…など、自分にフィットしそうな部から始める方法も紹介しました。もちろん気に入れば他の部もきっと読みたくなります。
- ジョジョは一度ハマると抜け出せない中毒性あり!
- 個性的なキャラ、予測不能なストーリー展開、唯一無二の言語センス(「無駄無駄」「オラオラ」「ゴゴゴゴ」など)…どれも唯一無二です。読み進めるほど「ジョジョネタ」が日常で聞こえてきて、あなたも「そこに痺れる憧れるゥ!」となるでしょう。
- 漫画原作とアニメ・スピンオフで何度でも楽しめる。
- ジョジョは原作漫画が最もディープな体験ですが、アニメ版の迫力や小説・実写など他メディアの味わいも加わり、ファンを飽きさせません。まずは漫画で物語を追い、アニメで追体験し、さらにスピンオフで知識を深めれば、もはやあなたも「ジョジョラー」(熱狂的ジョジョファン)です。
- 単行本は紙・電子お好みで揃えよう。
- 世界観に浸るならカラー版も魅力ですが、荒木先生の独特なベタ使いのモノクロも味があります。近年は電子で手軽に全巻読めるので、いつでもジョジョにアクセスできます。黄金の精神に触れて元気が欲しい時、名言で自分を鼓舞したい時、ジョジョはきっとあなたの心強い相棒になるはずです。
ジョジョの奇妙な冒険は、「少年漫画の王道」と「前衛的な表現」が絶妙に融合した作品です。最初はとっつきにくいと思われがちですが、一旦読み始めればキャラクター達の生き様に心奪われ、気付けば全シリーズ読破していることでしょう。
この記事が皆さんのジョジョ入門・攻略の一助になれば幸いです。
さあ、あなたもジョジョの世界へ踏み出してみませんか? 「このマンガを読まずして人生を終えるのは確実に大きな損失」とまで言われるジョジョシリーズ、ぜひ自分の目で確かめてください。

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