「王様ゲーム」シリーズの漫画・小説を読む順番ガイド【刊行順・時系列順】

王様ゲーム」シリーズは、携帯小説から始まり漫画化・アニメ化もされた大ヒットのサバイバルホラー作品です。

クラスメイト全員に“王様”からの命令メールが届き、命令に背くと即死の罰が下るというショッキングな内容で、多くの読者を惹きつけました。

シリーズ累計発行部数は800万部を超え、実写映画化・テレビアニメ化もされています。

しかし作品数が多いため、「王様ゲーム 漫画 順番は?」「王様ゲーム 順番はどう読む?」と順番に迷う人も少なくありません。

本記事では「王様ゲーム」シリーズ全作品のリストと正しい読む順番を、小説版(原作ライトノベル)と漫画版の両面から徹底解説します。

刊行順(発売順)・時系列順・おすすめ順の違いや、各作品のあらすじ・主要キャラクター・作品の特徴も詳しく紹介します。

また、漫画と原作小説の違いや補完関係、各作品ごとの作風の違いとおすすめの読者層、シリーズを網羅する上での注意点(ネタバレ防止策や読み飛ばし厳禁ポイント)、さらに紙書籍・電子書籍などどこで読めるかまで、初心者からファンまで役立つ情報を網羅しました。

順番通りに読むことで「王様ゲーム」の世界観を存分に楽しめるようになるでしょう。それでは、「王様ゲーム」シリーズの魅力と正しい読み方を順番に見ていきましょう。

目次

王様ゲームシリーズの全体像と作品リスト

引用元 コミックシーモア

まずは「王様ゲーム」シリーズの全体像を整理します。

原作者は金沢伸明(ペンネーム「ぱっくんちょ」)で、2009年に携帯小説投稿サイト「モバゲータウン」(現エブリスタ)に最初の物語を投稿したのが始まりです。

以降、物語は次々と続編やスピンオフが執筆され、2015年までに全8作(本編+スピンオフ含む)が発表・書籍化されています。

シリーズはホラーと学園サスペンスを基調とし、メールで届く命令、謎の「王様」、極限状態の人間心理を描いた群像劇が特徴です。

「王様ゲーム」シリーズには原作小説(ライトノベル)と、それを基にした漫画版があります。まず原作小説は双葉社から文庫化・ジュニア文庫化されており、全8エピソード(単行本全12巻分)が刊行済みです。

一方、漫画版はそのうち前半の4エピソードをコミカライズしたもので、双葉社アクションコミックスより発行されています。

以下にシリーズ全作品リストを小説・漫画の対応関係も含めまとめます。

スクロールできます
タイトル小説漫画巻数(漫画)発表年(小説)内容概要
王様ゲームありあり全5巻2009年高校1年B組を舞台にした最初のゲーム。主人公:金沢伸明
王様ゲーム 終極ありあり全5巻2010年伸明が転校先で再びゲームに巻き込まれる続編
王様ゲーム 臨場ありあり全4巻2010年「本多奈津子」に焦点を当てたスピンオフ的作品
王様ゲーム 滅亡ありなし2011–2012年日本全国の高校生が巻き込まれる大規模なゲーム
王様ゲーム 起源ありあり全6巻2013年1977年の夜鳴村で起きた最初の「王様ゲーム」
王様ゲーム 再生ありなし2013年北海道での新たなゲームと宗教団体「リボーン」を描く
王様ゲーム 煉獄ありなし2014–2015年埼玉の高校で行われる“私的”王様ゲームを描く異色作
王様ゲーム 深淵(最終作)ありなし2015年日・韓・台の高校生が巻き込まれるシリーズ最終章

以上がシリーズ全体の作品リストです。

小説版は各エピソードが上下巻に分冊されたものもあり、全12冊(双葉文庫版)またはジュニア文庫版全11冊として刊行されています。

漫画版は全4シリーズ・計20冊(各シリーズ4~6巻)で、いずれも完結済みです。なおシリーズ全般を通して登場人物や世界観は一部共有しており、時系列上は繋がった一つの物語になっています。

次章では、この作品群をどの順番で読めばよいか、刊行順・時系列順・おすすめ順の3つの視点から解説します。

正しい読む順番:刊行順・時系列順・おすすめ順の比較

王様ゲームシリーズを楽しむ上で重要なのが、読む順番です。刊行順(発表順)で読むか、物語の時系列順で読むかによって体験も変わります。

それぞれの順番とメリット・注意点を見ていきましょう。

小説版の刊行順(発売順)

まずは原作小説の刊行順です。シリーズは基本的に刊行順=物語執筆順に読むのがオーソドックスであり、作者が意図した順序で謎解きや伏線回収を楽しめます。

双葉社から出版された文庫版の発売順は以下の通りです。

  • 『王様ゲーム』(2009年11月発売) – シリーズ第1作(無印)。
  • 『王様ゲーム 終極』(2010年6月発売) – 第2作。
  • 『王様ゲーム 臨場』(2010年12月発売) – 第3作。
  • 『王様ゲーム 滅亡6.08』(2011年7月発売) – 第4作前編。
  • 『王様ゲーム 滅亡6.11』(2012年4月発売) – 第4作後編。
  • 『王様ゲーム 起源』(2013年3月発売) – 第5作。
  • 『王様ゲーム 再生9.19』(2013年7月発売)– 第6作前編。
  • 『王様ゲーム 再生9.24』(2013年12月発売) – 第6作後編。
  • 『王様ゲーム 煉獄10.29』(2014年8月発売) – 第7作前編。
  • 『王様ゲーム 煉獄11.04』(2015年2月発売) – 第7作後編。
  • 『王様ゲーム 深淵8.02』(2015年11月発売) – 第8作前編。
  • 『王様ゲーム 深淵8.08』 (2015年12月発売) – 第8作後編。

※上記は単行本刊行順です。双葉社ジュニア文庫版では一部タイトル表記や巻数構成が異なりますが、基本的な読む順は同じです。

刊行順で読めば、物語の謎が明かされていく順序や後出しの伏線を著者の執筆意図通りに体験できます。特にシリーズ前半は、続編で前作の結末を踏まえた展開や新事実の判明があるため、発売順に沿って読むことが推奨されます。

例えば、第1作『王様ゲーム』で提示された謎(王様の正体など)は、第2作『終極』で一部明かされ、第4作『滅亡』以降でさらに掘り下げられる構成です。

刊行順に読むことで、「何がどのタイミングで判明したか」をリアルタイムの読者と同じ順序で追体験できます。

漫画版の刊行順(発売順)

次に漫画版の刊行順です。漫画版は原作小説の前半4作品を順不同でコミカライズしています。出版順は以下の通りです。

  1. 『王様ゲーム』
    • 漫画版 第1シリーズ、2011年1月~2012年6月発売、全5巻 – 作画:連打一人。原作第1作をコミック化。
  2. 『王様ゲーム 終極』
    • 漫画版 第2シリーズ、2012年11月~2014年7月発売、全5巻– 作画:栗山廉士。原作第2作をコミック化。
  3. 『王様ゲーム 起源』
    • 漫画版 第3シリーズ、2014年1月~2016年3月発売、全6巻– 作画:山田J太。原作第5作をコミック化。
  4. 『王様ゲーム 臨場』
    • 漫画版 第4シリーズ、2015年1月~2016年11月発売, 全4巻 – 作画:栗山廉士。原作第3作をコミック化。

漫画版は双葉社アクションコミックスレーベルから発売され、シリーズごとに担当作画者が異なるのが特徴です。

刊行順は上記のように原作の時系列や番号とは異なり、『起源』のコミカライズが『臨場』より先に発売されています。とはいえ、漫画のみを追う読者は基本的にこの発売順に読んで問題ありません

まず無印と終極を読んで物語の核を掴み、その後『起源』『臨場』で補完する形です。この順序であれば原作小説の発売順(無印→終極→臨場→起源)と多少前後しますが、漫画オリジナル読者でも混乱せず楽しめる構成になっています。

物語の時系列順

シリーズを物語の時系列順(年代順)に並べると、以下の順番になります。

  1. 『王様ゲーム 起源』
    • 1977年の夜鳴村で起こった最初のゲーム(第1回「王様ゲーム」)。
  2. 『王様ゲーム 臨場』(※序盤の現代パート除く)
    • 2009年、本多奈津子たちが体験したゲーム(第2回「王様ゲーム」)。
  3. 『王様ゲーム』(無印)
    • 2010年、金沢伸明たちのクラスで起こったゲーム(第3回)。
  4. 『王様ゲーム 終極』
    • 2010年、伸明の転校先で起こったゲーム(第4回)。
  5. 『王様ゲーム 臨場』(現代パート)
    • 2010年、伸明が全国ゲームに巻き込まれる直前の出来事。※『終極』と同時期~直後のエピソード。
  6. 『王様ゲーム 滅亡』
    • 2010年6月、日本全国の高校生を対象に発生したゲーム(第5回)。
  7. 『王様ゲーム 再生』
    • 2010年9月、北海道で発生した新たなゲーム(第6回)。
  8. 『王様ゲーム 煉獄』
    • 2010年10月、埼玉県の高校クラスで発生したゲーム(第7回)。
  9. 『王様ゲーム 深淵』
    • 2015年8月、孤島・紅島で発生した国際交流団体を巻き込むゲーム(第8回)。

ご覧のように、時系列順では『起源』『臨場』『無印』→『終極』→『滅亡』→『再生』→『煉獄』→『深淵』の流れになります。

物語上は『起源』でウイルスの起こり(王様ゲームの起源)が描かれ、『臨場』でその後日談と「奈津子」の背景が明かされ、『無印』『終極』で現代の事件が展開。

さらに『滅亡』以降でゲームが全国→世界へ拡大しクライマックスへ向かう構成です。

注意: ただし初めて読む場合は、必ずしも時系列順に読むことはおすすめできませんというのも、『起源』や『臨場』は過去の出来事を描く前日譚であり、シリーズ後半に出版された作品です。

物語の背景知識がないまま最初に『起源』から読むと、世界観の説明が少なく理解しにくかったり、逆に後の展開のネタバレ要素を先に知ってしまったりする恐れがあります。

例えば『起源』を先に読むと、「王様ゲーム」の正体や奈津子という人物の秘密など、一部シリーズ全体の謎を早い段階で知ってしまうことになり、初見の驚きが薄れてしまいます。

従って、時系列順で読み直すのはシリーズ2周目以降にすると良いでしょう。

おすすめの読む順番

以上を踏まえた上でのおすすめの読む順番は、やはり刊行順(原作の発売順)です。

まず刊行順に物語を追い、謎解きや伏線回収を著者の意図通りに体験することで、シリーズを通じて感じる緊張感や驚きを最大限に味わえます。

特にシリーズ前半(無印~終極~臨場~滅亡)は互いに密接に関連しているため、この順序で読むことがストーリー理解上もスムーズです。

刊行順で一通り読んだあとで、改めて時系列順に読み直すのも一興です。時系列順に並べ替えることで、物語全体の因果関係や伏線の繋がりを再確認でき、「あの事件が後にこう繋がっていたのか」という発見があるでしょう。

ただし繰り返しになりますが、初見では刊行順を強く推奨します。

また、漫画版のみ読む場合も特にこだわりがなければ刊行順(無印→終極→起源→臨場)で読み進めて問題ありません。

漫画版を刊行順に読めば、物語の大筋は原作小説の順番通り理解できますし、各シリーズごとに完結しているため自然な流れで楽しめます。

それでは、各作品ごとの内容と魅力を具体的に見ていきましょう。以下では各作品のあらすじ、主要キャラクター、作品の特徴を詳しく紹介します(極力ネタバレを避けつつ概要を述べます)。

各作品のあらすじ・主要キャラクター・作品の特徴

イメージ画像:漫画note作成
  1. 王様ゲーム
  2. 王様ゲーム 終極
  3. 王様ゲーム 臨場
  4. 王様ゲーム 滅亡
  5. 王様ゲーム 起源
  6. 王様ゲーム 再生
  7. 王様ゲーム 煉獄
  8. 王様ゲーム 深淵8

『王様ゲーム』(無印) – 生死を分ける戦慄のクラスゲーム

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シリーズ第1作『王様ゲーム』は、すべての始まりとなる作品です。

金沢伸明(かなざわ のぶあき)という高校生が主人公で、舞台は彼のクラス(県立玉岡高校1年B組)の日常です。

ある夜、クラス全員(32名)の携帯電話に「王様」を名乗る謎の人物から一斉メールが届き、「クラスメイトの誰と誰がキスをすること」などの命令が書かれていました。

最初は悪戯だと笑っていた生徒たちでしたが、命令を無視した者が翌日に急死する事件が発生し、次第に命令内容も「三人殺せ」といった残酷なものへエスカレートしていきます。

クラスメイトたちはパニックに陥り、互いに疑心暗鬼となりながらも生き残りを賭けて命令に従おうとします。

主要キャラクター

主人公の伸明は明るく正義感の強い少年で、恐怖の中でも王様ゲームの停止方法を探して奔走します。

ヒロインの本多智恵美(ほんだ ちえみ)は伸明の恋人で心優しい少女。

もう一人のヒロイン岩村莉愛(いわむら りあ)は無表情で孤立しがちな少女ですが、王様ゲームが始まると非情な決断力を見せ、伸明と対立します。彼女は漫画版・アニメ版ではハッキング能力を持ち、王様の正体究明に関わる設定となっています。

その他、伸明の親友橋本直也(はしもと なおや)など、多彩なクラスメイトが登場し、それぞれが極限状態で本性を露わにしていきます。

作品の特徴

本作は典型的なデスゲームものとして、「見えない殺人者(王様)に支配される閉鎖空間で、人間同士が疑心暗鬼に陥る」という緊張感を描いています。

命令に背けば即“死の罰”というルールにより、生徒たちは次々と無惨な死を遂げ、残り人数が減っていくサスペンスが読者を惹きつけます。

誰が最後まで生き残るのか、生き残るためにどんな行動を取るのかが大きな見どころです。

また「王様は一体誰なのか?」というミステリー要素もあり、読者自身も犯人捜しをしながら読み進めることになります。ラストでは驚愕の選択を主人公が迫られる結末となっており、シリーズ続編への引きも巧みに用意されています。

『王様ゲーム 終極』 – 悪夢の再来と更なる惨劇

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第2作『王様ゲーム 終極』は、無印から7か月後を舞台にした直接的な続編です。

無印編でただ一人生き残った金沢伸明は、心身に深い傷を負いながらも別の高校(県立呉広高校)へ転校します。しかし新天地でも悪夢は繰り返され、転入先の2年1組で再び「王様ゲーム」がスタートしてしまいます。

伸明は「今度こそゲームを止める」と固く決意しますが、またもクラスメイトが次々と死亡していきます。

主要キャラクター

前作に続き伸明が主人公ですが、本作ではもう一人の重要人物として本多奈津子(ほんだ なつこ)が登場します。

奈津子は実は過去に王様ゲームを経験した生き残りであり(後述の『臨場』編にその過去が描かれます)、転校先クラスで伸明と同じゲームに巻き込まれます。

最初は明るく天然な性格だった奈津子ですが、再度ゲームが始まると冷酷な本性を現し、クラスを翻弄する強かなヒロインとなります。

もう一人のヒロイン松本里緒菜(まつもと りおな)は気の強いお嬢様タイプの少女で、転校生の伸明に興味を抱き協力するようになります。

その他、奈津子と想い合うクラスメイト赤松健太(広島弁を話す大柄な男子)など個性的な新キャラが加わり、前作とはまた異なる人間ドラマが展開します。

作品の特徴

『終極』では無印で提示された「王様ゲーム」の謎に迫る要素が強まっています。

伸明と奈津子は生き残りを賭けて敵対しつつも、「王様」の正体解明のため動きます。ついに王様の正体が新種のウイルスであるとの仮説が明らかになり(学者・宮澤からの電話による)、ゲーム終息の条件が「感染者全員の死」である可能性が示唆されます。

この科学的種明かしにより、作品はホラーからパンデミックもののSFサスペンスの色彩を帯び始めます。とはいえ依然として、高校という閉鎖空間での人間同士の裏切り・犠牲劇が中心であり、奈津子の狂気や伸明との対決が最大の見どころです。

最後は生存者がほぼゼロとなる凄惨な結末を迎えますが、その直後に日本全国の高校生を対象に新たな王様ゲームが始まったことが告げられ、物語は次なるステージ(『滅亡』編)へ繋がります。

絶望的なラストと大風呂敷を広げた予告によって、読者は否応なく続編を手に取らずにいられなくなるでしょう。

『王様ゲーム 臨場』 – 過去と現在を繋ぐもう一つの真相

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第3作『王様ゲーム 臨場』は、シリーズの中でも異色の構成を持つ作品です。

オカルトマニアの女子高生・児玉葉月(こだま はづき)を主人公とし、彼女が過去の「王様ゲーム」の謎を追うというメタ視点で物語が進みます。

時間軸としては『終極』の直後、2010年の現代パートと、約1年前(2009年)に奈津子が体験したゲームの回想パートが交錯します。

あらすじ

葉月は趣味で読んでいたケータイ小説『王様ゲーム』(※作中では実際の出来事を綴ったもの)が現実の惨劇を記録していることに気づき、興味本位で調査を開始します。

彼女は奈津子の通っていた学校(紫悶高校)の廃校跡を訪れ、奈津子が残したノートを発見します。ノートには彼女が体験した王様ゲームの詳細が記されており、葉月はさらにその舞台となった夜鳴村へ向かいます。

夜鳴村では奈津子の父で、33年前の王様ゲーム(=『起源』編)の生き残りでもある本多一成(ほんだ かずなり)と出会い、事件の真相を聞き出そうとします。

月は使命感から一成の頼みを受けて彼に手をかけてしまいますが、その結果未来を変えてしまったことに後悔します。

やがて現代へ戻った葉月は、更新されていた携帯小説『王様ゲーム終極』を読んで伸明と奈津子の結末を知ると、同時に自らも日本全体を巻き込む王様ゲーム(=『滅亡』編)に巻き込まれていく…という余韻で物語は終わります。

主要キャラクター

児玉葉月は「臨場(2010年パート)」の主人公であり語り部です。

好奇心旺盛で心霊・オカルト好きな彼女は、シリーズのファン視点に近い立ち位置で事件を追います。

過去パートの主人公は本多奈津子(紫悶高校での彼女の視点)。彼女が1年4組で経験した王様ゲームの様子が描かれます。奈津子は当時明るい少女でしたが、恋人・安田健太朗を守るために非情な手段も辞さない強さを見せます。

クラスメイトには健気な恋人・安田健太朗、冷酷に殺戮を行う女生徒・佐竹舞などが登場し、奈津子を巡る人間模様が展開します。

また現代パートでは奈津子の父・本多一成が重要人物として登場。1977年の夜鳴村惨劇(=『起源』編)の生存者という立場から、葉月に真相の一端を明かします。

作品の特徴

『臨場』はシリーズの補完エピソードとして機能しており、無印~終極では語られなかった背景情報を提供します。

奈津子の過去が描かれることで、彼女の人格形成や動機がより深く理解でき、『終極』での行動にも説得力が増します。

また1977年の「夜鳴村事件」(=『起源』編)の生存者・一成が登場することで、シリーズ全体の伏線が部分的に回収されます。

物語のトーンは他作品に比べてミステリアスで、探求や推理の要素が強いのが特徴。ホラー的な恐怖よりも「謎解き」や「真相追及」に重点が置かれ、シリーズの裏側を描くメタ的な楽しみがあります。

一方で、葉月が過去に干渉したことで時間軸に影響が出るというSF的要素も加わり、シリーズ中でも異彩を放つ一作です。

ラストは葉月が次作『滅亡』に巻き込まれるところで終わり、直接的なクライマックスは描かれませんが、『滅亡』へのブリッジ(架け橋)としての役割を担っています。

『王様ゲーム 滅亡』 – 全国規模に拡大した地獄のゲーム

王様ゲーム 滅亡ライトノベル

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第4作『王様ゲーム 滅亡』では、ついに王様ゲームの舞台が一クラスから日本全国へとスケールアップします。

『終極』ラストで示唆された「日本全国の高校生を対象に王様ゲーム開始」という状況が本格的に描かれ、シリーズはパニックホラーの様相を呈します。

あらすじ

2010年6月8日、突如として日本全国の高校生に「王様ゲーム開始」のメールが一斉送信されます。

最初の命令は「広島県にいる全員が岡山県に移動せよ」というもの。引きこもり生活を送っていた広島の高校生・工藤智久(くどう ともひさ)は、親友の渡辺修一・幼馴染の今村友香に外出へ連れ出され、命令を果たすため岡山へ向かいます。

しかし命令を無視した生徒が変死する事実を目の当たりにし、彼らも命がけのサバイバルに巻き込まれたことを悟ります。

智久たちは次々下される過酷な命令に翻弄されながらも、ゲームを終わらせる方法を模索。やがて智久は母親から得た手掛かりを元に黒磨町の寄進会病院へ向かいます。

そこで出会った学者・宮澤から「王様」の正体がウイルスであること、さらに彼が回収した金沢伸明(『終極』で死亡)の遺体から抗体を作れる可能性を知らされます。

智久は自ら感染者として死を受け入れる代わりに、体内で抗体を生成しようと決意。猛烈な肉体変異と記憶障害に襲われながらも、第6の命令終了直前にギリギリ抗体を完成させ、全国を巻き込んだ王様ゲームを終わらせます。

しかし智久の身体はもはや人間の形を留めず、異形の存在へと変貌。その“新しい生物”は後に「チャイルド」と呼ばれることになります。

主要キャラクター

工藤智久が本作の主人公です。

父親の死をきっかけに引きこもっていましたが、王様ゲームによって外の世界へ飛び出し、成長していきます。臆病ながら仲間思いで、次第に勇敢さを身につけます。

同行する今村友香は智久の幼馴染で、やがて恋人関係へと発展する少女。渡辺修一は智久の親友で、お調子者ながら頼れる存在です。

物語中盤から登場する学者・宮澤賢治は、夜鳴村事件を研究してきた人物であり、ウイルス説を唱えるキーマンです。

また、知人科学者が開発した「ナノクイーン」(王様ウイルス制御プログラム)を偶然手に入れた女子高生・国生蛍(こくしょう ほたる)が後半の鍵を握ります。

敵対者としては、智久の父を過去に殺した高校生・日村海平(ひむら かいへい)も登場し、混乱に拍車をかけます。

作品の特徴

『滅亡』は、限定的だった王様ゲームが全国規模に拡大したことで、パニックホラー&ロードムービー的な展開が描かれます。

全国で逃げ惑う高校生たち、政府も介入する非常事態、大人たちを巻き込む混乱など、スケールが格段に上がりました。

物語としては各地を移動しながら命令をクリアしていく冒険要素も含まれ、これまでの閉鎖空間サバイバルとは異なる緊張感があります。「次はどこで何が起こるのか?」という先の読めないスリルが大きな魅力です。

さらに本作では科学的・SF的設定が本格的に導入されました。ウイルス説が確定的となり、抗体やナノクイーンといった専門用語も登場。終盤では智久が抗体を作るために犠牲となり、“チャイルド”へ変貌するというダークSF的な展開が際立ちます。

この大胆なストーリーによってシリーズは新章へ移行し、次作『再生』では「人間が意図的に王様ゲームを利用する」という局面に突入します。

『滅亡』はまさにタイトル通り、日本全体に“滅亡”級の悲劇をもたらすターニングポイント的作品です。

『王様ゲーム 起源』 – 夜鳴村に封じられた封印と呪い

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第5作『王様ゲーム 起源』は、シリーズの原点を描いたエピソードゼロとも言える作品です。

舞台は現代より遡ること32年前、1977年夏の中国地方の寒村「夜鳴村(よなきむら)」。ここで行われた最初の王様ゲームの全貌が明かされます。

あらすじ

1977年8月8日、夜鳴村に暮らす高校生・本多一成(ほんだ かずなり)の元に、一通の黒い封筒が届きます。

差出人は「王様」を名乗り、「王様ゲーム開始」との命令が記されていました。命令に背けば「首吊りの罰」と書かれていましたが、村人たちは迷信だと笑い飛ばします。

しかし翌朝、命令を無視した2名の村人が首吊り死体で発見され、事態は現実の恐怖へと変わります。以降も村人たちは次々と謎の変死を遂げ、閉鎖的な村は恐怖と疑心暗鬼に包まれていきます。

最終的に生き残ったのは一成と、彼の従妹で恋人関係にあった本多奈津子(※伸明の時代に登場する奈津子とは別人)のみ。奈津子は、自分たちの祖先が「薬師(くすし)」として不老不死の薬を調合していたこと、その薬壺を誤って割ったことでウイルスが放たれ、今回の惨劇を招いたと一成に明かします。

奈津子は責任を取るために自害し、一成は「罰」を受ける覚悟をしますが、なぜか死なずに独り残されます。

そして32年後(2009年)、一成の娘=本多智恵美(無印のヒロイン)の元に再び「王様ゲーム」のメールが届き、物語は現代へと繋がっていきます。

主要キャラクター

本多一成が主人公です。高校生ながら冷静でしっかり者の青年でありながら、唯一生き残ってしまった罪悪感と従妹・奈津子への想いを抱えます。

に村を離れて結婚し、娘(智恵美、無印のヒロイン)をもうけます。現代編『臨場』にも老年となって登場し、葉月に協力を求めた人物です。

ヒロインの本多奈津子(従妹)は、一成の幼馴染で互いに想い合う関係でしたが、村の因習によって許されない仲でした。彼女は王様ウイルスの封印を解いてしまった張本人であり、責任を感じて自ら命を絶ちます。

その存在は一成にとって忘れがたく、後に娘に「奈津子」という名を与えるほどでした。

その他、夜鳴村の村民たちが登場。閉鎖的で迷信深い村社会の中、次第に疑い合い、殺し合う狂気が描かれます。王様ゲームの“起源”を生んだ「薬師の末裔」との因縁が示され、村を覆う不気味な伝承の影が浮かび上がります。

作品の特徴

『起源』はシリーズの謎解き編であり、王様ゲームのルーツが明確に語られる作品です。

ウイルスの誕生経緯(不老不死の薬の副産物)や封印が解かれた経緯が明かされ、オカルトと科学が交錯する独自の世界観を形作っています。

舞台が1970年代の田舎村であるため、現代編とは異なる伝奇ホラーの雰囲気が漂います。命令が携帯電話ではなく手紙で届く点、首吊りや毒殺といった古風な「罰」の描写も、時代性と不気味さを際立たせています。

シリーズを読み進めたファンにとっては「謎が繋がった」と納得できるエピソードであり、長年の伏線を回収する重要作です。一方で単体でも「閉鎖村での伝染病パニック譚」として楽しめる完成度があり、未読者でも引き込まれます。

結末では未来(無印へ続く現代)への不穏な引きが描かれ、シリーズ全体を通して一つの大きなサイクルを完結させる役割を担っています。以降の作品は『起源』で明かされた事実を前提に展開していきます。

『王様ゲーム 再生』 – 終末からの“再生”、そして人間の企み

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第6作『王様ゲーム 再生』は、全国を震撼させた『滅亡』編から約3か月後、2010年秋の北海道を舞台にしたエピソードです。

タイトル通り、一度終息したゲームが「再生」し、新たな局面を迎えます。

あらすじ

2010年9月19日、北海道各地で惨殺死体が相次いで発見されます。

これは宗教団体「リボーン」によって仕掛けられた新たな王様ゲームの始まりでした。リボーンはケルドウイルス(王様ウイルス)とナノクイーンを手中に収め、世界支配を目論む狂信的カルト集団。北海道で秘密裏にゲームを実行し、従わない者を次々と粛清していきます。

主人公は高校生・宮内雅人(みやうち まさと)。偶然にも同級生の少女・氷室香鈴(ひむろ かりん)がリボーン幹部であることを知り、事件の渦に巻き込まれます。香鈴はリボーンの命令でクラスにゲームを強要し、残酷な命令が続く中、雅人は彼女を止めるため奔走します。

やがて香鈴の独断により、雅人は“最強のチャイルド”(前作『滅亡』で生き残った怪物の中でも最強の個体)との殺し合いを命じられます。死闘の末、雅人はこれを倒し、チャイルドは全滅。ゲームは一時的に終息しかけます。

しかし直後、香鈴がリボーン内で裏切り者とみなされ粛清されそうになり、雅人は彼女を庇って銃弾に倒れます。

絶命寸前、香鈴はナノクイーンのパスワードを仲間の神崎斗志雄(かんざき としお)に託し、自らも自殺。こうして北海道での事件は幕を閉じます。

主要キャラクター

宮内雅人が主人公です。

ごく普通の高校生でしたが、クラスメイトの秘密に関わったことで事件に巻き込まれます。正義感が強く、最後は敵対していた香鈴を守るため命を落とす熱血タイプ。

氷室香鈴はリボーン幹部でありながらヒロイン的存在。狂信的に見えますが、次第に葛藤が描かれ、雅人との交流を通じて人間性を取り戻します。彼女の最期は悲劇的です。

神崎斗志雄は雅人の友人で、香鈴からナノクイーンのパスワードを託されるキーパーソン。次作『煉獄』で再登場します。
また、リボーンの幹部や手下たちが暗躍し、組織内の権力闘争が描かれます。

特筆すべき存在は“最強のチャイルド”。もはや人語を解さない怪物として雅人に襲いかかり、シリーズ随一の戦闘描写を生み出します。

作品の特徴

『再生』は「人間が王様ゲームを利用する」という新たな局面を描いた転換点です。

リボーンという邪教集団がウイルスとナノクイーンを操り、自分たちの思想=世界支配のためにゲームを利用します。これまで自然発生的に起きていた惨劇が、人為的に引き起こされる段階へと移ったのです。

ジャンル性もホラーからバイオサスペンス・陰謀劇へシフト。組織と高校生の対決、黒幕の存在など、新たな物語構造が導入されました。

「再生」というタイトルはリボーンの思想(人類を滅ぼし、選ばれた者で再生する)に由来し、同時にシリーズ新章の始まりを象徴しています。

また、本作から「黒幕は誰か?」という推理要素が再び強化。香鈴の裏切りや組織の秘密が次々と明かされ、ミステリー的な楽しさが復活しました。

さらに、チャイルドとの戦闘や銃撃戦などアクション要素も増加。ホラーよりもサバイバルバトル色が濃くなり、シリーズに新たな刺激を与えました。

結末は主人公の死というショッキングなもので幕を閉じますが、香鈴がナノクイーンのパスワードを斗志雄に託したことで、次作『煉獄』への布石が打たれています。

『再生』は、王様ゲームが「人類の運命を左右する力」として明確に描かれた転換点であり、シリーズ後半を大きく方向づける重要作です。

『王様ゲーム 煉獄』 – 復讐の連鎖と“私的”王様ゲーム

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第7作『王様ゲーム 煉獄』は、シリーズ中でも異色のクローズド・サークル復讐劇です。

舞台は2010年10月末、埼玉県の赤池山高校2年A組。ここでの王様ゲームは従来と異なり、個人的な復讐を動機として始まります。

あらすじ

北海道でのリボーン事件(『再生』)から1か月後の2010年10月29日、赤池山高校2年A組の生徒たちは奇妙なメールを受け取ります。

2か月前にいじめを苦に自殺したクラスメイト・北村智輝(きたむら ともき)の冥福を装ったものでしたが、実はこれが新たな王様ゲームの始まりでした。

今回のゲームは数人ずつのグループ対抗戦という形式で、互いに殺し合いを強要する残酷な内容。転校生・佐々山夢斗(ささやま ゆめと)は最初こそ傍観しますが、減っていくクラスメイトの中で生き残りを賭けて行動します。

やがて大半の生徒が死亡した後、夢斗は王様に呼び出され屋上へ向かいます。そこに待っていたのはクラスメイトの高橋星也(たかはし せいや)でした。

星也こそが今回の王様であり、リボーン残党から盗み出したケルドウイルスとナノクイーンを使って独自にゲームを計画した黒幕だったのです。

星也は、智輝に友情を超えた想いを抱いていたことを告白。智輝を死に追いやったクラスメイトへの復讐と、自らの罪の贖いのために“煉獄”として王様ゲームを実行したのだと語ります。

星也は最後に自殺を図りますが、夢斗と松崎風香だけは死を偽装して生き残り、最終的に2人がこの惨劇から生還します。

主要キャラクター

佐々山夢斗が主人公です。

転校生であり、クラスの過去をよく知らないため冷静に状況を見極めます。いじめに関与していなかったこともあり、良心的かつ機転の利く人物として描かれます。

高橋星也は一見目立たない生徒でしたが、智輝への特別な感情から今回の惨劇を引き起こした真の王様。リボーン残党からウイルスとナノクイーンを奪い、クラス全員を道連れにする計画を実行しました。

北村智輝はすでに故人ですが、物語の根底にある存在。星也は智輝を守れなかった罪悪感と愛情を動機にゲームを仕組みました。

松崎風香は夢斗と共に行動し、後半の鍵を握る女子生徒。死を偽装して生き延び、夢斗と協力して最後の局面を乗り切ります。

その他、いじめ加害者側の生徒たちも登場し、ゲーム開始と同時に互いに殺し合うなど狂気に染まっていきます。

作品の特徴

『煉獄』は「罪人を罰する地獄」としての王様ゲームを描いた異色作です。

他の作品ではウイルスが惨劇を引き起こしていましたが、本作では人間の怨念と計画が主体。星也は個人的な復讐のためにウイルスとナノクイーンを使い、“自作自演の王様ゲーム”を起こしました。

閉ざされた教室での疑心暗鬼と殺し合いは原点である『無印』にも通じ、密室サスペンスとしてのスリルが際立ちます。

また、星也の動機には智輝への秘めた愛情が含まれており、いじめ問題や同性愛的感情といった社会的・心理的テーマにも踏み込んでいます。

結末では星也の計画がほぼ成功したかに見えますが、夢斗と風香が生き残ったことで完全な“浄化”には至らず、皮肉な余韻を残します。

『煉獄』はシリーズ全体の中ではスピンオフ的な位置づけですが、星也が用いたナノクイーンは次作『深淵』への重要な伏線となっており、物語の最終章へと繋がっていきます。

『王様ゲーム 深淵』 – 最終章、そして終焉へ

王様ゲーム 深淵【小説】

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シリーズ最終作『王様ゲーム 深淵』は、時代を2015年へと進め、国際的な舞台で繰り広げられるラストエピソードです。

日本・台湾・韓国の高校生たちが入り乱れ、人間の悪意が引き起こす最後の“王様ゲーム”が描かれます。

あらすじ

2015年8月2日、長崎県沖の孤島「紅島(ほんとう)」で国際交流研修に集まった日本・台湾・韓国の高校生たちに「王様ゲーム開始」のメールが届きます。

主人公・天海翔真(あまみ しょうま)は日本からの参加者で、仲間と共に生き残りをかけて奮闘します。だが、命令を無視した罰により友人たちが次々と死亡し、島は疑心暗鬼と恐怖に包まれていきます。

翔真自身も罰によって重い脳障害を負いながらも、黒幕を探し続けます。やがて、王様ゲームを仕掛けたのは台湾人高校生・林永明(リン・ヨンミン)と、日本人教師・小松崎美佳であることが判明します。

二人はネットで知り合った殺人嗜好者同士で、紅島研修に合わせてウイルスとナノクイーンを入手し、今回の惨劇を計画していました。

翔真は瀕死の体で二人を倒すことに成功しますが、力尽きて死亡。唯一生き残ったのは台湾人女子・黄若英(ホアン・ルオイン)でした。彼女は美佳から託されたナノクイーンのパスワードを使い、ついに王様ゲームそのものを停止させます。

こうして、長きにわたった「王様ゲーム」は深淵を覗き込んだ多くの犠牲の果てに、終焉を迎えるのです。

主要キャラクター

天海翔真は本作の主人公。

平凡ながら積極性を持つ日本の高校生で、ゲーム開始後は仲間を守ろうと奔走します。最後は犯人を倒し、命と引き換えに英雄的な最期を遂げます。

林永明は台湾からの参加者で、純粋な殺人嗜好を動機とする危険人物。小松崎美佳は日本人教師で、永明と共に黒幕として暗躍します。彼女は自身の鬱屈した人生への破滅願望からゲームを引き起こしました。

黄若英は台湾人女子高生で、序盤は目立たない存在でしたが、最後に唯一の生存者となり、ナノクイーンの停止を成し遂げた救世主的存在です。

また、韓国・台湾からの参加者たちも登場し、異文化間の摩擦や協力といった国際的要素が物語に彩りを加えます。

作品の特徴

『深淵』はシリーズの集大成であり、過去の要素を総決算的に盛り込んだ完結編です。

舞台は孤島という閉鎖空間、参加者は国際的メンバー、そして複数犯による人為的なゲーム。複雑でスリリングな状況が読者を最後まで引き込みます。

黒幕である永明と美佳は、純粋な人間の悪意から惨劇を起こした存在であり、シリーズを通して描かれてきた「人の心の闇」というテーマを象徴しています。

タイトル「深淵」には、人間の内面に潜む闇、そして覗き込んではならない真理といった意味が込められています。

同時に、その闇の連鎖を断ち切ったのもまた人間の意志でした。若英がパスワードを入力し、ゲームを停止させた瞬間は、シリーズを締めくくる救済の場面として強い印象を残します。

最終的に生存者がゼロではなく1人残ったことで、一筋の希望が提示され、長きにわたったシリーズは大団円を迎えました。

漫画版と原作ライトノベルの違いと補完関係

イメージ画像:漫画note作成

王様ゲームシリーズには原作小説と漫画版が存在しますが、両者にはいくつか違いがあります。

また、お互いを読むことで補完し合える点もあります。ここでは主要な違いと補完関係について説明します。

カバー範囲の違い

最大の違いは物語のカバー範囲です。

原作ライトノベルはシリーズ全8作(起源~深淵まで)すべてが描かれているのに対し、漫画版はシリーズ前半4作(無印・終極・臨場・起源)のみがコミカライズされています。

したがって、漫画だけ読んでも『滅亡』『再生』『煉獄』『深淵』の内容はわからず、シリーズ全体を知るには後半は小説で読む必要があります。

逆に小説だけ読んでいる人にとって漫画版は、前半4作のビジュアル再現を楽しむメディアとなります。

ストーリー展開や結末の違い

漫画版と小説版では一部ストーリーや結末が異なる場合があります。特に第1作『王様ゲーム(無印)』の結末が代表的です。

原作小説版では、主人公の伸明が恋人の智恵美を自ら手にかけて殺してしまい、最後に「ゲームを続けるか罰を受けるか選べ」というメールが届く終わり方でした。

一方、漫画版ではクラスメイトの暴走により智恵美が刃物で負傷し死亡。伸明には「あなたがこの世界の王様です。この世界をどうしたいですか?」というメールが届く展開に変更されています。

このようにラストシーンの描写が異なるほか、細部の演出も漫画用にアレンジされています。

たとえば、罰の内容が小説版では“忘却”だったものが、漫画版では即死に変更されているなどの差異があります。ただし、物語の大筋は共通しており、王様の正体がウイルスであることなど、根幹の設定は漫画版でも踏襲されています。

演出・表現の違い

メディアの違いによる演出面の差も顕著です。

小説版では一人称視点や文章による心理描写が中心で、読者の想像力に委ねられる部分が多くあります。

グロテスクな死の描写も文章による想像上の表現にとどまる一方、漫画版では視覚的なインパクトが強く、惨劇シーンや恐怖の表情が直接描かれます。

そのため、漫画版の方がショッキングなシーンのインパクトが強いという読者もいます。

一方で、小説版で冗長に感じた部分が漫画ではテンポよく進むという利点もあります。

例えば無印の漫画版は全5巻と短く、展開が非常に早いため、登場人物が多い割に掘り下げが浅いという印象もあります。これは巻数制限の影響もあり、詳細な心情は小説版で補完するのがおすすめです。

キャラクター設定の違い

メディアによる微妙なキャラクター設定の違いもあります。

例えば無印編の岩村莉愛は、小説版では寡黙な少女ですが、漫画版・アニメ版ではハッキングが得意という設定が追加され、王様の正体解明に貢献する描写があります。

また、実写映画版では智恵美が主人公になるなどの大胆な改変もありますが、漫画と小説の差はそこまで大きくありません。

うした細かな設定差はファンにとって興味深いポイントなので、両方に目を通すと新たな発見があります。

補完関係

小説と漫画は互いに補完関係にあります。小説版は作品数・情報量ともに多く、ストーリーの全貌と細部まで知るには必須です。

一方、漫画版はそのビジュアル表現によってキャラクター像がより明確に掴める利点があります。

恐怖シーンの臨場感やグロテスクな描写は漫画の絵によって説得力が増し、小説で想像しにくかった場面も理解しやすくなります。

また、漫画版では各シリーズで作画担当が異なるため、キャラクターデザインの違いを見る楽しさもあります。
好みの絵柄のシリーズを見つけて、そこから小説に興味を持つ読者もいるでしょう。

逆に小説既読者が漫画を読むと、「このシーンはこう映像化されたのか」と再体験でき、新鮮な発見があります。

シリーズを深く味わいたいなら小説版(原作)を読むのがベストですが、漫画版は手軽にエッセンスを摂取できるメディアとして有用です。

特にシリーズ前半の名場面やショッキングなシーンは漫画でチェックしておくと印象が強まり、理解も深まるでしょう。
また、漫画版独自の演出や若干のストーリー改変も、「もう一つの王様ゲーム」として楽しめます。

なお、テレビアニメ版(2017年放送)も存在しますが、これは無印と終極を組み合わせた特殊な構成になっており、順番的には前半2作のダイジェスト+改変ストーリーと捉えて差し支えありません。

本記事のテーマである読む順番には直接関係しませんが、興味があればアニメ版もチェックすると良いでしょう(ただし評価は賛否あります)。

各作品ごとの作風の違いとおすすめの読者層

イメージ画像:漫画note作成

王様ゲームシリーズは作品ごとに舞台設定や登場人物が変わり、作品の雰囲気やジャンル感も少しずつ異なります。

ここでは各作品の作風の違いと、特にどんな層におすすめかをまとめます。自分の好みに合ったエピソードから読み始める参考にもしてください。

スクロールできます
作品名作風読者層
無印『王様ゲーム』高校の一クラス内でのサバイバルホラー。命がけのゲームと人間の本性暴露が主題。デスゲーム系が好きな人、シリーズ初心者、学園スリラーを楽しみたい人
『終極』続編スリラー。再び巻き込まれる絶望と強敵との心理戦。SF要素あり。より過激な展開を求める人、謎を知りたい人、耐性のある読者
『臨場』ミステリー寄りのスピンオフ。伝承的ホラーとの融合。裏設定やキャラ背景に興味がある人、都市伝説や謎解きが好きな人
『滅亡』パニックホラー×バイオサスペンス。国家規模の惨劇と科学的展開。新展開を求めるファン、感染・ゾンビ系が好きな人、ホラー上級者
『起源』昭和風の伝奇ホラー。村の因習や呪いが主軸。和風ホラー好き、シリーズの謎を追いたい人、単体ホラーを楽しみたい人
『再生』カルト教団vs高校生のサスペンスアクション。陰謀・バトル要素強め。ミステリー・アクション好き、刺激を求める読者、シリーズ中盤以降の展開が好みの人
『煉獄』デスゲームに復讐劇を融合。いじめと狂気の心理劇。暗めの人間ドラマが好きな人、社会問題に興味がある人、メンタルに余裕のある人
『深淵』シリーズ完結編。密室サバイバル×推理×クライマックス。全作品を読んだファン、総合的なデスゲーム・ミステリー・アクション好き

このように、各作品で微妙にテイストが異なるため、「自分は初期の閉鎖空間ホラーが好き」「自分は後半のSFサバイバルが好き」と読者によって好みが分かれるところです。

王様ゲームシリーズは幅広いホラージャンルの要素を網羅しているため、どの作品にも独自の魅力があります。

もし途中で「作風が合わない」と感じても、次の作品でガラッと雰囲気が変わることもあるので、ぜひ最後まで付き合ってみてください。

シリーズを読むうえでの注意点(ネタバレ防止・飛ばし読み厳禁)

王様ゲームシリーズを網羅する際の注意点も整理しておきましょう。長いシリーズだけに、読む順番やネタバレに関して気を付けるべきポイントがあります。

順番を守ってネタバレを防ぐ

先述の通り、刊行順に読むことが推奨されます。特に『起源』を最初に読まないことは重要です。

『起源』や『臨場』にはシリーズ全体の謎を解き明かすネタが含まれており、これらを前提知識なしで読むと混乱したり、後のサプライズを台無しにしてしまいます。

例えば「王様ゲームの正体=ウイルス」という事実は『終極』中盤で明らかになりますが、『起源』を先に読んでしまうと初期の神秘性が薄れてしまうでしょう。

また、奈津子のキャラクターも『臨場』読後では印象が変わってしまうため、仕込み通りの驚きを得るには刊行順通りが一番です。

飛ばし読み厳禁

シリーズが長いからと言って途中の作品を飛ばすのはおすすめできません。特に『臨場』と『滅亡』はストーリー理解上とても重要な橋渡し役です。

『臨場』を飛ばすと奈津子や夜鳴村の背景がわからず、『終極』や『起源』で消化不良になります。また『滅亡』を飛ばして『再生』以降を読むのも厳禁です。

『滅亡』では王様ゲームのルールや世界観が大きく変化するため、これを読んでいないと『再生』以降の展開についていけません。

シリーズは一つの大河ストーリーになっているので、一冊でも抜けると設定や人物相関がわからなくなる恐れがあります。

「臨場は外伝だから後でいいかな」という声もありますが、前述の通り『臨場』はシリーズの要所を締める情報が多く含まれるため、必ず所定の順番で読むことをおすすめします。

情報遮断と自衛

人気シリーズゆえにインターネット上には多くのネタバレ情報があります。

未読のうちはYahoo知恵袋やSNSで「王様ゲーム ○○(キャラ名)」など検索しないよう注意しましょう。

思わぬ結末のネタバレを目にする可能性があります(例えば「奈津子の正体」「チャイルドのその後」など)。

本記事もできる限り核心を伏せて解説していますが、完全な白紙状態で楽しみたい方は各巻解説を読む前に該当作品を読了することを推奨します。

グロ・ショッキング描写への心構え

シリーズは巻を追うごとに死亡描写がエスカレートする傾向があります。

残酷なシーンや人体破壊描写が苦手な方は、漫画版より小説版で読んだ方がまだ想像に留められるので良いかもしれません。

特に『滅亡』以降は犠牲者数も多く、グロテスクな場面が連続しますので、心の準備を。それでもきつい場合は無理せず一旦中断し、間を置いてから再開するのも一つです。

読書は娯楽ですので、自分のペースで消化してください。

媒体ごとの違いを認識

途中で漫画版から小説版、あるいはその逆に切り替える場合、前述したストーリー細部の違いを理解しておきましょう。

「漫画版でこうだったのに小説では違う」と感じても、基本は小説版が正史です。漫画版の改変部分は、あくまでメディアの演出上のものなので、混同しないようにしましょう。

ただし大筋は変わらないため、大きく問題になることはありません。どうしても齟齬が気になる場合は、同じシーンを双方で見比べて楽しむぐらいの余裕を持つと良いでしょう。

王様ゲームシリーズはどこで読める?(紙・電子書籍・連載状況など)

最後に、「王様ゲームをどこで読めるか」について紹介します。現在、原作小説も漫画版も全て完結済みであり、入手は比較的容易です。

紙の書籍

原作小説は双葉社から刊行されています。

単行本(双葉文庫)版は全12巻ですが、現在は双葉社ジュニア文庫版(全11冊)が入手しやすいでしょう。

ジュニア文庫版は小中高生向けに漢字にルビが振られるなど、読みやすく再編集されており、内容は基本的に同じです。書店や通販サイト(Amazon等)で購入可能です。また、図書館に所蔵されている場合もあります。

漫画版は双葉社アクションコミックスより単行本(全20巻)で発売されています。こちらも大手書店やネット通販で全巻セット購入が可能です。

古書店やフリマアプリで中古を探すのもよいでしょう。

電子書籍

小説・漫画ともに主要な電子書籍ストアで配信されています。

例えばBookLive、Kindle(Amazon)、楽天Kobo、コミックシーモア、BookWalkerなどで検索すれば、まとめて購入できます。

価格は紙とほぼ同等ですが、頻繁にセールやクーポンが出るため、タイミングによっては紙より安く揃えられることもあります。

実際、BookLiveではジュニア文庫版全11冊のまとめ買いで、お得なセット価格が提示されています。

また、Kindle Unlimitedの読み放題対象になっている巻もあり、加入者は追加料金なしで漫画版の一部などを読めるケースもあります(時期により変動します)。

手軽さを重視するなら、電子書籍での購読がおすすめです。

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連載・無料公開状況

現在、シリーズはすべて完結しており、雑誌連載などは行われていません。

過去にはモバゲータウン(エブリスタ)で携帯小説として投稿・連載されていた経緯があります。エブリスタ上では今も作者「ぱっくんちょ」のアカウントで一部作品が閲覧可能です。

例えば『王様ゲーム(再生9.24まで)』『王様ゲーム-臨場-』などが投稿されており、エブリスタの会員登録をすれば無料で読める部分もあります。

ただし携帯小説版は書籍化に伴い、若干内容が異なる場合があります。完全版を読むには、やはり書籍を入手するのが確実です。

また、漫画版については一部電子コミックサービス(コミックシーモアやU-NEXTなど)の「毎日無料」コーナーで、1日1話ずつ無料で読める施策が行われていることがあります。

じっくり時間をかけて読むなら、こうした無料公開を活用する手もあります。

映像作品

余談ですが、シリーズの実写映画(2011年公開)やテレビアニメ(2017年放送)も存在します。

映画版は第1作を基にしていますが、「周囲の人間から存在を忘れられる」という独自の罰設定で、原作とは異なる展開になっています。

アニメ版『王様ゲーム The Animation』は、無印と終極を混合したストーリーで、こちらもオリジナルの構成です。

読書の順番には直接関係ありませんが、シリーズを読み終えた後に興味があれば視聴してみるのも良いでしょう。

ただし、映像作品から入ると原作のネタバレや混乱を招くおそれがあるため、鑑賞は小説・漫画を読了後にすることを推奨します。

まとめ

「王様ゲーム」シリーズの漫画・小説の読む順番について、小説版の刊行順・時系列順・おすすめ順を交えて詳しく解説しました。ポイントを振り返ります。

  • シリーズは原作小説全8作+漫画版4シリーズが存在し、読むなら刊行順が基本です。特に初読では発売順に読むことで物語の驚きを最大限に味わえます。時系列順は二周目以降の楽しみと考えましょう。
  • 各作品の概要を把握し、順番通りに読むことでキャラクターや謎の連続性が理解できます。飛ばし読みは禁物で、臨場や滅亡などブリッジとなる巻も必ず読むようにしましょう。
  • 漫画版は前半4作をコミック化したもので、漫画のみ読む場合の順番は「無印→終極→起源→臨場」です。ただしシリーズ後半は漫画化されていないため、全貌を知るには小説版の読破が必要となります。
  • 漫画と小説の違いとして、結末や演出の細部に差異がありますが、大筋は共通しています。両方読むことで視覚と文章の両面から作品を楽しめ、お互いを補完し合う関係です。
  • 各作品ごとに微妙に作風が異なるため、好みに応じて楽しみ方も変わります。初期作品は学園デスゲーム、後半はパンデミックや陰謀サスペンスなど幅広いジャンル要素が含まれているので、自分のお気に入りのエピソードを見つけてください。
  • 読む際はネタバレに注意し、順番を間違えないよう気を付けましょう。特に『起源』からいきなり読むのはNGです。シリーズものゆえ長丁場ですが、次が気になる展開続きで飽きさせない内容になっています。
  • 王様ゲームシリーズは現在完結済みで、紙書籍・電子書籍ともに入手可能です。ジュニア文庫版や電子書籍を活用すれば手軽に読めます。無料で読める範囲もあるので上手に利用しましょう。

命がけのゲームを巡る極限のドラマと、巻を追うごとの壮大な展開で、多くの読者を魅了してきた「王様ゲーム」シリーズ。正しい順番で読み進めれば、その巧妙なストーリー構成とスリルを存分に味わえるはずです。

ぜひ本記事を参考に、「王様ゲーム」シリーズを最初から最後まで読破してみてください。あなたもきっと、ページを捲る手が止まらない究極のサバイバルホラー体験をすることでしょう。

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